2024年4月

土佐町ストーリーズ

95年間のキヨ婆さんの思い出 28

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

土佐町栗木地区に近藤潔さん(95歳)という方がいます。潔さんは書くことがとても好きな方で、今まで、高知新聞の「あけぼの」というコーナーに何度も投稿されてきました。とさちょうものがたりでは、「95年間のキヨ婆さんの思い出」と題し、土佐町で過ごした思い出を綴ってくれます。

 

母の手

今から84年程昔の思い出、胸の奥から引っ張り出してみました。

私が小学5年、妹が3年、弟が6才の頃、高知市昭和町の江ノ口に住んでいました。父は当時の「土陽新聞」に勤め、母は高知に移住してすぐから、乳屋の瓶洗いの仕事に行っていました。

日曜日のこと、お母ちゃんの働いている乳屋に行ってみようかという事になり、弟を連れ三人で出かけました。一度も行った事は無かったが、大体の道筋は聞いていたので、先ず愛宕町通りを南へ、汽車の線路を越して、中ノ橋を渡って少し行った所の右側に金曜市の出る通りがあって、角に永野パン店がありました。

大きな看板を見ながら、南へそこから追手筋の通りまで、県立の第一、第二女学校、南の端が城東中学校と並んでいました。現在もある高い時計台がありました。

確かこの辺と聞いていたのだがと、クルッと回るとそこに「島﨑牛乳」の看板が。「ここだ」。

妹とトビトビして喜んだ。広い庭があって、仕事場らしい建物が一杯並んでいた。母に会いたかったがその勇気が無かった。

今から85年も昔の事、瓶より他に容器は無かったのでしょう。水道の水で一日中、手袋等あるはずも無く、母の手は「ミズグイ」とやらで、真白くなって、皮がはげて身が見えていた。

毎晩膏薬を塗る母を見てかわいそうと思い、私に出来る事は手伝って母を助けよう、との思いが親孝行への考えの始まりではなかったかと、97才の今、一人ぼっちで涙する今日この頃です。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
くだらな土佐弁辞典

ぬくい

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

ぬくい

【形容詞】暖かい

 

例:今日はぬくいねぇ

意味:今日は暖かいねぇ

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
2 / 212