「大君の通貨 幕末「円ドル」戦争 」 佐藤雅美 文藝春秋
第4回新田次郎文学賞受賞作品です。
幕末期に為替レートの関係で、日本の金が海外に大量流出したという事柄だけはうっすらと記憶にありましたが、詳しい事実は全く知識としてなく、歴史上の出来事として通過してきました。
日本が世界経済に対する無知さゆえに相手国の言いなりとなり、駐日総領事(ハリス)個人の利殖目的のために翻弄された為替レートのからくりが詳しく描かれています。
事実を正しく把握し適切に処理しようと動く人物は色々な思惑により排除され、金流出を食い止める最後の砦を失っていく過程が、歴史経済小説として目の前に展開していきます。
世界経済に無知な国民と侮られたかと思うと、非常に悔しい。