石川拓也

“4,001”

土佐町の現在の人口です。(2017年6月末時点・土佐町公式サイトによる)

注:土佐町の総人口が3,997人(2017年4月末時点)から4,001人(6月末時点)に増加したことに伴い、当プロジェクト名も「4,001プロジェクト」に変更になりました。

“4,001プロジェクト”は土佐町に住む人々を、全員もれなく、写真家の石川拓也が撮影する計画。

念のため書いておくと、「全員もれなく」…あくまで目標です。

土佐町の人口の増減によって、タイトルもたまに変わります。  (敬称略・撮れたときに不定期更新)

4001プロジェクト

伊藤勝也・秀美・陽音・穂美 (田井 うどん処 繁じ)

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土佐町や近隣の、たくさんの方々がお世話になっているであろう「うどん処 繁じ」の伊藤さんご一家を撮影させていただきました。伊藤勝也さん、秀美さん、陽音ちゃんと穂美ちゃんの4人家族。

「繁じ」のうどんは、月並みな言い方になりますがとにかくおいしい。ご主人の勝也さんは安芸の「国虎屋」やその他様々なお店で修行した後、ご自身が育った土佐町に帰ってきてお店を開きました。

お昼時にお店の前を通ると長い行列ができていて「今日はあきらめよう‥」と思ったことも多々あります。遠方や他県の方もよくご存知で、「繁じ」のうどんが目当てで遠くから来ました、という話もよくお聞きします。

なんかご家族のお話よりもうどんの話ばかりになってしまいましたが、僕自身が「繁じ」のうどんのいちファンなのでご理解いただければと思います‥。

 

 

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私の一冊

石川拓也

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「日本の文脈」 内田樹, 中沢新一 角川書店

内田樹と中沢新一。二人とも1950年生まれの同学年という思想家が、さまざまな機会に対談をしたものを綴った対談集。

内田樹は、古武道や能を通して「中世の日本人の体の動かし方を知りたい」と考える。その先には日本人の精神性の大元はどういうものだろう?という疑問がある。

中沢新一は、「アースダイバー」の著者。元々はチベット密教を体験体得し、それを科学的に、なお且つ平易な言葉で表現できる人。その地点から「日本とは?」という問いを発する人。

だいぶ乱暴な説明になってしまいましたが、この二人、アプローチは全然違うのに考えていることは大きく共鳴しあっているようで、それが対談を通して伝わってきます。

特に日本文化に対する眼差しは厳しくて温かい。「日本文化の中心は実は空っぽで空洞です。本質はその周縁部にある。」といったような指摘は思わず「なるほど」と手を叩いてしまいました。

 

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4001プロジェクト

西村まゆみ (南泉)

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とさちょうものがたりの連載のひとつ「ほのぼのと」は、だいたい1950年代・土佐町生まれ土佐町育ちの同級生がリレー形式で書いているお話です。

先日、西村まゆみさんが初参加。「ハイヒール」と題した幼き日の思い出を文章にしてくれました。

この写真はその時にまゆみさんのプロフィール写真として撮らせていただいた一枚。

南泉のお家に伺うと、とても丁寧に手の入ったお庭の前で笑顔で迎えてくれました。

 

 

ハイヒール

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4001プロジェクト

石田清一郎・川田雅敏・レオ (南川)

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南川の、とある山の奥に大木を撮影しに行った帰り道。

車で山を下っていると、そんな山奥で前から白い軽トラが現れた。車の中には石田清一郎さんと川田雅敏さん。荷台にはレオ。

車を止めて少し立ち話。お二人(と一頭)、山を上がったところで山仕事をするために来たらしい。

そういえば道脇に丸太を積んであったところがありました。ふと思えば舗装されていないこの山道も、砂利がひかれて草も刈られている。

そう多くの人が上がってくる場所ではないこういう山の中も、人の気持ちが入った仕事があるのです。

 

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私の一冊

石川拓也

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「末広がりのいい会社をつくる」 塚越寛 サンクチュアリ出版

著者の塚越寛さんは、伊那食品工業という会社の社長さん。「かんてんぱぱ」の会社と言ったらピンとくる方も多いかもしれません。塚越さん、今年5月高知のかるぽーとで講演されていました。

題して「みんなが幸せになる会社のあり方」。

企業のトップとしてどのように経営を考えていくか。どうやって従業員を幸せにしていくか。売り上げとは企業にとってなんなのか。

印象に残ったのが、幹部で集まって経営について会議する際に、「売り上げ目標について話すことが全くない」ということ。

じゃあ何を話ししているか?「世の中の価値観がどう変化しているか。そればかり話ししています。」

会社は従業員や地域住民を幸せにするためにある。そして売り上げはその幸せを実現するための手段。あくまで手段であって目的ではない。

そういった言葉のひとつひとつに、気負いやはったりを全く感じず、逆に深みと説得力を大きく感じるのは、塚越さんが長年この言葉を実践してきたという「過去形」で話しているからなんだと思います。

「こうなったらいいよね」「こうなるのが理想だよね」もちろん理想を持つこともとても大切なことですが、言いっ放しは誰でも簡単にできる。

大事なのは、少しずつでも現実を理想に近づける小さな一歩。そんなことを考えさせてくれる一冊です。

 

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4001プロジェクト

土佐町消防団田井分団(操法選手)

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左から 古谷雅之 島崎祐企 池添篤 三木智史 岡村哲治 町田健太

 

土佐町消防団田井分団・操法の選手たちです。

大変不勉強ですみませんが、「操法」という競技の存在を、土佐町に来るまで知りませんでした。

2年前の操法大会で、わけもわからず選手をやり、町の平和と安全がこのように守られていることを初めて知った次第です。競技の結果は散々で個人的に全選手中の最低点(!)を叩き出しました。その節のことは関係各位に改めてお詫びいたします。。

話が逸れましたが、操法のこと。

各地区の消防団が、補助員含めて6人のチームを作り、消防車の操作から火点に見立てた的をホースの水で倒すまで、動作の正確さとスピードで競います。

僕自身(石川)が(あまり役には立っていないのですが)田井分団に所属しているため、記録係としての出動となりました。

田井分団が本番を終え、ホッと一息ついたところでの一枚。背景には見えてないのですが、さめうらダムが霧の中に佇んでいます。

 

 

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私の一冊

石川拓也

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「武器になる哲学」 山口周 KADOKAWA

著者の山口周さんは、最近とても面白いと思っている方。

前作の「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 」が世界規模で起こる(起きつつある)価値観の変化を捉えていて大変面白い内容でしたが、この一冊も一気に読んでしまうほど面白いものでした。

「哲学」と言った時に自分の中でも湧き上がる拒否反応。これはいくつか理由はあるのですが、古代ギリシアから時系列的に「勉強する」ことだったり、ただでさえ抽象的でわかりにくい書き方に加え、その思想の時代的背景がわかっていないのに言葉の字面だけを理解しようとすることが原因だったり。

この本は、そういった哲学本の書き方を避け、タイトル通り「武器になる」哲学の考え方にフォーカスを当てています。今、この時代に「武器として使う哲学」。

この意味で言えば、哲学とは「根本から問うこと」。現代社会において、自分の人生や仕事の質をより良いものにするために「根本から問う」ために必要なヒントが散りばめられています。

 

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土佐町のものさし

土佐町幸福度調査アンケートにご協力ありがとうございました。

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土佐町のみなさま。土佐町幸福度調査アンケートにご協力ありがとうございました。

土佐町の幸せな未来を作っていくためのこのアンケート、2019年5月中に町民のみなさまのご協力のおかげで、無事集計を完了しました。

現在は集計結果を元に、高知大学による分析報告の段階へと移っています。そしてその後はもちろん町の人々の幸せにつながるひとつひとつの施策や行動が続きます。

今回は、分析報告の前の暫定的なものですが、単純集計・クロス集計を元にしたご報告を感謝とともにお伝えしたいと思います。

 

●最終集計数 604

2019年6月時点での土佐町の人口が3,844人です。このうちの604人の方々からアンケートの回答をいただきました。全住民の16%。これは統計的に土佐町の傾向を知るためには十分な数字ということです。

604人のうちの44.5%が男性、55.5%が女性です。

高知大学の廣瀬淳一先生によると、通常こういったアンケートでは男性の回答率がもっと低くなるそうで(なんとなくわかる気がします)、今回は土佐町の男性の方のご協力が予想以上でした。

繰り返しになりますが、お忙しい中ご協力いただきましてありがとうございました。

 

●幸福+普通と答えた人が92.7%

詳細な分析結果が出る前の素人分析は慎みますが、単純集計としては以下の円グラフのような結果が出ています。

「幸福」と答えた人 49.7%  (300人)

「普通」と答えた人 43%    (260人)

ある大学関係者の方と幸福度の話をしていた際に、「幸福度アンケートは、町の人が『何に不幸を感じるか』『何に不満を持っているか』という調査をした方が良いのではないか?」と言っていたことがあります。

「92.7%が普通以上」という結果に一旦の安堵はしつつ、「不幸」と答えた6.5%の方のその原因を、もちろん安易に踏み込んで良いものではないと思いますが、もし可能なら知りたいと個人的には感じました。

その原因を丁寧に見つめて向き合っていくことは、もしかしたら土佐町が今後進むべき道を示し得ることなのかもしれません。

 

以下は個人的に気になったものからいくつか簡単なご報告します。

 

●地元のもの、自作のものを食べている頻度

Q27  過去12ヵ月間で、あなたの家庭の食卓では、土佐町産のもの、自作のもの(米、野菜など) ご自身で採ったもの(山菜や野生動物など)を食べる頻度はどのぐらいになりますか?

 

上の質問と、「どのくらい幸福ですか?」という質問をクロスした結果が以下の表です。

全体に対する「毎日」と答えた方の割合はとても高く(n=293)、それは町の方々の暮らしぶりを拝見しても頷けるように思えます。

そして幸福度とクロスしたデータは、ほぼ正比例する形で「地産のものを食べている人ほど幸福度が高い」という結果を示しました。なんとなくわかる気がします。

 

個人的な経験からも、例えば町の方に「これ採れたばかりのキュウリ、食べてみいや〜」と手渡されて口にした時、体内の瞬間最大幸福量が一気に最大まで上がることがあります。

その体験を、例えば田んぼや畑をご自身でされている方は毎日毎晩の食卓でされている。「これ食ってみいや」と勧めてくるみなさんの顔がとても良い笑顔なのも不思議ではありませんね。

 

●本を読む人ほど幸福と回答

 

Q10  過去1ヶ月に何冊の本を読みましたか?

 

上の質問と、「どのくらい幸福ですか?」という質問をクロスした結果が以下の表。

とても明快に「本を読む人ほど幸福度が高い傾向がある」という結果が出ています。

あくまで「その傾向がある」ということですが、この結果を持って、土佐町役場としては何をするか?何ができるか?

一過性の施策ではなく、長い目で見た具体的な行動・施策を考え日々実践する。そのことが現実に町の住人の幸福に直接的に結びついていることを明確に意識しながら仕事をする。

そうした時に、この「幸福度調査アンケート」を実施した本当の意味が出てくるのではないでしょうか。

 

 

今回のご報告はあくまで暫定的なもの。もう間もなく高知大学が行った分析報告が完成する予定です。詳細なご報告はその時まで待ちたいと思います。

 

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私の一冊

石川拓也

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「エンデの遺言」 河邑厚徳  講談社

事前の情報もなくなんとなく手に取った本だったのですが、予想外に深くすごい内容でした。ナメてすみません。

現代のほぼ誰もが無関係ではいられない「お金」というものの正体について、ミヒャエル・エンデがナビゲーターになり探っていく一冊です。

企画の途中でエンデが亡くなられ、 彼自身の言葉は比較的少ないのですが、本書はエンデが生前ずっと著書を側に置いていたという二人の思想家のお金や経済に対する考察に踏み入っていきます。

その二人とはルドルフ・シュタイナーとシルビオ・ゲゼル

どちらもそれぞれ表現は違えど「人間社会の多くの問題の根本的な原因は、『お金』というものが自然の摂理に則っていない事にある」と主張しました。

自然物や人間が作るものは、そのどれもが時間とともにダメになったり腐ったり価値を下げていく。それが自然の摂理なはずなのに、「お金」だけが永遠性を与えられているだけでなく、利子というものにより時間とともに増えていく。

ここに問題の根本があるという考えです。

特にゲゼルの考えはゲゼル理論と呼ばれ、1930年代のドイツやオーストリアで地域通貨に適用されます。つまり、時間とともに価値が減じていく貨幣。

これを導入した小さな町(例えばオーストリアのヴェルクル)では、町の中を猛烈な勢いで地域通貨が循環するようになり、疲弊していく近隣の町を尻目に経済は大回復したということです。

ただこの話には続きがあって、この地域通貨は中央銀行に目をつけられ、効果を誰もが実感していたにも関わらず、わずか一年で廃止。当時の町長は国家反逆罪で逮捕されたそうです。

その当時、もしも人類全体が「自然の摂理に適った貨幣」の方へ舵を切っていたなら‥明らかに歴史は変わっていたでしょうし、その道を見てみたかったようにも思います。いや、もしかしたら今からでも遅くないのかもしれません。

 

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私の一冊

石川拓也

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「野生の思考」 中沢新一 NHK出版

 

「構造主義の父」と呼ばれるクロード・レヴィ=ストロースの著書「野生の思想」を、NHK「100分de名著」が取り上げた際の、これはテキストに当たる一冊です。

この「100分de名著」シリーズ、多くの場合解説にあたる方々が、机の上の話だけに終始しないところが、意図してそうしているような気がしますが、素晴らしいと思います。

「野生の思考」自体はなかなか難解で読みづらい本ですが、この回の解説員は中沢新一さんで、とてもわかりやすく解説されています。

レヴィ=ストロースが中心となって打ち立てた、いわゆる「構造主義」ですが、これは1960年代に現れ、現在の世の中を形作った思想的土台を担っていると言えます。

その時代、それまでの主流としてあったのは「実存主義」。レヴィ=ストロースはこの「実存主義」をこてんぱんに論破し、その思想的生命に終止符を打ったそうです。

具体的にいうと、「実存主義」が、人類の歴史を直線上に進化・進歩していくものと捉えていたことに対し、レヴィ=ストロースは真っ向から批判します。

歴史を「直線上に進化・進歩していくもの」と定義した場合、そこには必然的に「進んだ西欧と遅れた後進国」という概念が生まれ、それは啓蒙主義(遅れた未開人には教えてやるべき)とか進歩主義(進歩や成長至上主義というもの)の根拠になります。

 

「構造主義」はその歴史観を一旦全て否定し、そうではなく、人類は新石器時代から変わらない構造の脳を持ち、人類に共通の「構造」のもと文化を育んでいると主張しました。

そう考えると、一見進んでいるかのように見える欧米社会も、遅れているとか未開とか言われてきた先住民の社会も、共通の「構造」によって作られた土台を、表面上の味付けだけを変えて繰り返しているにすぎないということになり、そこに本質的な優劣は存在しないのです。

むしろ人間の本質に沿っているのが実は未開と呼ばれる社会の方なのでしょう。

この考え方が1960年代以降、世界を動かすエンジンオイルのように染み渡ります。先住民文化の再評価という世界的な動きや、オーストラリアの首相がアボリジニの人々に公式に謝罪したこと(2008年)なども大きく捉えるとその一環としてあるとも言えます。

だいぶ長くなってしまって恐縮ですが、翻って考えてみれば、日本ではとても顕著な「進んでいる都会」と「遅れている田舎」という二項対立は果たして本当でしょうか?

レヴィ=ストロースの「野生の思考」というメガネをかけて見てみれば、「人間の本能や本質を発揮しにくい場所」と「人間の本能や本質に沿った暮らしがしやすい場所」という考え方もできるかもしれません。

「野生の思考」という言葉は、「とさちょうものがたり」が土佐町でやってきたこと、やろうとしていることにもどこか深いところで直結しているもののような気がします。

 

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