石川拓也

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

石川拓也

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MAGNUM LANDSCAPE」Ian Jeffrey Phaidon Press

敢えて説明するのも気が引けますが、”MAGNUM”は1947年から続く国際的な写真家グループです。

創設したのは報道写真家のロバート・キャパ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ジョージ・ロジャー、デヴィッド・シーモアの4人。(現在は50人が所属)

メディアや印刷技術の発達と共に、彼らの写真は新聞や雑誌に載って世界中を飛び回り、「いま世界で何が起こっているのか」という理解を人々が深めるための一助になりました。

この写真集はそのマグナムの写真家が撮影した珠玉の「風景写真」を収めたもの。ニュースではないもの、と言い換えてもいいかもしれません。

どれもが世界の美しい瞬間を切り取った美しい写真なのですが、ふと「ぼくたちはこういう写真を通して『世界はこういうもの』という理解を掴んでいるのかもしれない」とも感じます。

何が言いたいかというと、そうやって作られたイメージは「世界のように見える何か」であって世界そのものではない、ということ。

現実に対峙して世界を把握することが、写真が氾濫する現代では大切な気がします。

 

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土佐町のものさし

⑤ 言ってるだけやとあかんよね

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この連載「土佐町のものさし」は、現在進行形の旅の記録。
時代とともに変化していく世界の価値観(=ものさし)の大きな流れの中で、土佐町の人々が、土佐町のためにこれから作っていく「土佐町のものさし」を探し求めて歩く旅の記録です。

 

幸福度による町政を進めていく土佐町の幸福度調査アンケート、現在は骨格がほぼできあがった段階です。

これから役場の職員によるさらなる検討、そしてその後に町の住民の方々による検討会と進んでいきます。

幸福度とひと言で言ってみても、それはとても曖昧で主観的なもの。

「幸せの国」「幸せの町」と言葉で言うのは簡単なことですが、どうしてもイメージ先行の言葉の上すべり感は否めない。

それを町政の中心に据えるには、「幸福度」という言葉がとても主観的で抽象的だからこそ、かっちり現実的な考え方や行動に結びついている必要があると思います。

 

言ってるだけやとあかんよね。

どんな仕事にも言えることだと思いますが、特に幸福度・GNHという価値観の転換については特にそう思います。

題材自体が、ふと油断すると机の上の頭でっかちな議論になりがちなものなので、ふと気がつくと集まった人の多くが頭でっかち星人になっているという事態も多々あります。

頭からモノを言うのではなく、体から出る言葉を大切にして進めていく必要があると思うのです。

今回の記事では、幸福度調査アンケートをする意味について、もう一度しつこく書いてみたいと思います。

これは役場職員がアンケートの内容を練っていく過程で、ひとつづつ理解して獲得した「意味」でもあります。

 

 土佐町の住人が、土佐町の暮らしや環境、文化の価値を知る。

ある町の良さや価値は、ヨソモノの方が客観的に評価できるのではないか、とよく言われます。

土佐町で生まれ育った方々が、土佐町にすでにあるモノやコトや環境を、「そうであるのが当たり前」と受け止めていることはないでしょうか?

例えば土佐町の多くの人が持っている周囲の人々との強いつながり。大きな家族、と言ってもいいかもしれないぐらい強いコミュニティやご近所付き合いは、日本のどこにでもあるものではないと思います。

そのつながりが逆にしんどいことももちろんあると思いますが、それもわかった上で、その価値をいちどみんなでちゃんと議論して、それから町の方向を決めませんか?という提案がこのアンケートでもあるのです。

なぜなら、このようなコミュニティの強さは、一度壊れたらもう元には戻らないのですから。

なにかを変えるにしろ変えない努力をするにせよ、その価値をいちどみんなで共有してからにしませんか?

 

 土佐町が大事にしたいことを内外に宣言する

その上で、土佐町が大事にしていきたいこと、これからも守っていきたいこと、逆にどんどん変えていきたいことなどなどを明確に宣言する。

この辺りは、具体的な施策というよりはもう少し抽象的な言葉になるはずです。

大事なことは、経済(=お金)はそのうちの一部であって、決して全てではないということ。

何よりも上位にある目的は「町の住民がより幸せになること」であって、経済はそのための手段であるということ。

人が生きていく上でお金が大事なのは当たり前ですが、大きな経済のために不幸を生み出すようなことはあってはならないということ。

 

 

 土佐町の向かうべき方向を明確にする

土佐町の人々はどこからどのような道を歩んできてこの現在にいるのか? それを踏まえ、共有したうえで、これから行く方向を考える。

いくら良いエンジンを積んだ車に乗っていたとしても、進む方向が定まっていないとどこにも到着しないですよね。

「土佐町は今後こういう方向に進みたいんだ」という理解を共有してはじめて「そのためには現実的にこういうことをするんだ」という具体的な議論ができるんじゃないかと思います。

 

 現実的な施策や行動に反映する

ここまで辿り着くまでにけっこう長くなってしまいました。書けば書くほどどんどん理屈っぽくなって頭でっかちになっていくようでイヤですよね。ぼくも頭でっかち星人になるのはイヤなんです。

何度も書きますが、幸福度やGNHは言葉で言うことはカンタンなんです。

ただ、言っているだけでは本当に意味がない。言っているだけなら、最初から言わない方がいいんでないの?って思うくらいです。

というわけで、この「現実的な施策や行動に反映する」という段階がもっともキモの部分。個人的にはそう思っています。

「反映する」というよりかは、本当は発想の大元や評価基準を幸福度にシフトしていく、という方が合っているかもしれません。

果たしてこの仕事が土佐町の住人の幸せに繋がっているのか?そういう視点で役場の様々な事業を一度見つめ直してみる。

何かが原因でうまく繋がっていないなら、現実的なやり方を変えて繋げなおすということが必要なんじゃないかなと思います。

「←いまココ!」の土佐町では、住民幸福度調査アンケートが完成間近です!

 

 

 

ところでワタクシ、現在ブータンのパロという町にいてこの原稿を書いています。

国民総幸福度(GNH)の産みの親であるブータンの、現実的な国民総幸福度への取り組みを学びに、京都大学の研究チームに混ぜてもらっています。

次回からのこの連載(ネット回線の都合上、帰国後になる可能性が大きいですが‥)はブータンからのレポートをお送りします!

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私の一冊

石川拓也

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「スモール イズ ビューティフル」 E・F・シューマッハー 講談社

この本が刊行されたのは1973年。

巨大化しつつある世界経済に危機感を持っていた(早い!)シューマッハーは「大きくなることを目指すのではなく、人間という存在の身の丈に合った経済活動を目指すべき」と警鐘を鳴らします。

それがこの本。「スモール イズ ビューティフル」というのはそういう意味で使われています。

副題は「人間中心の経済学」とありますが、逆読みすると現実が「人間が中心にいない経済」の中に私たちは生きているという風に読めます。

いつの間にか「経済のための人間」になってしまっていないですか?

「小さな経済を生きる」「足るを知る」こういったキーワードの先に著者が名付けたのは「仏教経済学」。

現実に世界がそういった方向を求めてきているのを肌で感じます。

 

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4001プロジェクト

式地涼

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土佐町役場・産業振興課の一番の若手、式地涼くん。もうすぐ20歳。

土佐町生まれ土佐町育ち、土佐町にいて町のために働きながら、休暇にはアメリカに行ったり外にもアンテナを立てようとしているところが頼もしくもあります。

あと10年、20年もするとこの世代が引っ張る時代になるのでしょう。

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2019 Jan.

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栗木 権現の滝 | 上土井亘

 

土佐町の滝といえば「アメガエリの滝」が有名ですが、個人的には栗木の「権現の滝」も名滝だと思います。サイズ感とプロポーションがとても良い。上から見ると滝壺が星型に見えるそうです。滝壺の水も季節を問わず澄み切っています。

「権現の滝」の名前の通り、昔からここは権現さまの住む場所で、正式名称は「三樽権現の滝」といいます。

寒い冬の最中に、上土井亘くんと一緒にお参りしてきました。

 

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私の一冊

石川拓也

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「WOMEN 」 Saul Leiter スペースシャワーネットワーク

ソール・ライター(1923-2013)はアメリカ・ニューヨークの写真家です。2006年シュタイデル社から出版した写真集「Early Color」によって、83歳にして「衝撃の世界デビュー」を飾ったと言われています。

ちょっと本から話が逸れますが、ドキュメンタリー映画「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」も日本で公開された際に大きな話題になりました。この映画は、個人的に懇意にしていただいている翻訳家・柴田元幸さんが字幕を担当されていて、何年か前に東京の六郷でコーヒーをご一緒した時に、柴田さんが「今こんな仕事をしているんだ」と教えてくれた思い出があります。

この本はそのソール・ライターが親しかった女性たちをモノクロで撮影したもの。決定的瞬間でもなく派手な演出もない写真ですが、日常の愛おしさが溢れている写真集です。

写真は、しばしば重要な出来事を取り上げるものだと思われているが、実際には、終わることのない世界の中にある小さな断片と思い出を創り出すものだ ーソール・ライター

 

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私の一冊

石川拓也

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「稼ぐまちが地方を変える」 木下斉 NHK出版新書

机上論ではなく経験者の行動の下に書かれた、とても説得力のある良書です。

「地域おこし」「地方創生」「地域再生」などなどのワードで昨今語られることの多い地方振興系の活動。あんまりこういったワードで括るのは好きではないんですが、日本全国で頑張っている人たちは多くいますよね。

書かれていることの多くが、目からウロコが落ちたり、自分の考え方と一緒だったり。箇条書きで少し紹介してみます。

   不動産オーナーたちが連携を組んで地域を良くする

地域再生や振興は、日本ではなぜか地域の役場や役所が担うべきものと認識されていますが、欧米では不動産オーナーがチームになって取り組むこととされています。地域全体が良くなっていくことで、オーナーたちが所有する物件の価値が上がる訳で、とても合理的な形だと思いました。

   本気の人間が2、3人集まれば物事は変わっていく

逆を言えば、口だけ調子の良いことを言う人間が100人集まっても、会議や宴会の繰り返しで終わってしまうということ。リスクを取り汗をかく人間が、3人でもいればそれでスタートはできる。

   小さく始めて大きく育てる

机上で壮大な事業を考えていても現実は何も進まないので、まず自分が(もしくは少人数の仲間が)できることを一歩ずつやっていく。小さくて正解、という考え方。

        評論家になってはいけない

著者は職業柄いろんな地方で講演を依頼されることも多いそうですが、いわゆる「良い話を聞きたい」という依頼は断っているそうです。地方の方々が本気で動こうとしているときに、一緒に汗をかいてやっていきましょうと手を取り合うための講演だけを受けているそうです。共感。

以上、これ以上ないくらい粗い抜粋、そして記憶力の低下から言葉遣いは正確でないかもしれませんが、「地域おこし」という場の、ある意味最前線にいる身としては、多くを気付かされると同時に勇気ももらえるような一冊でした。

 

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私の一冊

石川拓也

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「日本一「ふざけた」会社のギリギリセーフな仕事術」 シモダテツヤ 中公新書

 

「この本を書くために平仮名とカタカナを覚えました。」

そんな書き方で始まる、日本一ふざけた会社バーグハンバーグバーグの社長・シモダテツヤ氏の仕事論。

最初から最後まで一貫したふざけかた。このセンスは個人的には大好きです。

自分の仕事にもふざけかたが足りないなぁと思わせてくれる本書ですが、「ギリギリセーフな仕事術」というタイトル通り、ふざけるのって意外と微妙なさじ加減が重要で、今のご時世一歩踏み外すととんでもない問題や炎上につながるものでもあるわけで、誰にでもできることではないよなぁとも思います。

でもどこからも文句が出ないような無難なやり方もおもしろくないし、かと言って誰かを怒らせたいわけでもないし。そんな境界線上を行ったり来たりしながら仕事している方は、職種に関わらず多くいるのではないでしょうか。

もちろん著者もそのうちの一人で、実践している悩める同士といった肩ひじ張らない語り口が楽しい一冊です。

 

 

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とさちょうものづくり

パレットサインいろいろ作りました!

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うっかりすごい時間が経ってしまってお恥ずかしい限りなんですが、

パレットサインをたくさん作りました!

昨年の冬の入り口頃の話です。

パレットサインってなに?という方には、まず以下の記事を‥

パレットサインを作ろう! その2

 

というわけで、改めて廃棄寸前のパレットをたくさんもらって来ました。ちょっと欲張りすぎたか。。。

そしてシルクスクリーンの版を使用して、一枚一枚作ります。

今回作ったのは、

どんぐりとさちょうものがたり土佐町、そして土佐山アカデミーの4種類。

実際にやってみると、パレットに印刷するというのは布に印刷するよりも難しい。

シルクスクリーンは、「平面ならなんでも印刷できる(水の表面以外は)」というぐらい、インクを変えれば何にでも印刷できるようなシロモノなんですが、パレットがこう見えてきれいな平面ではなかったりします。ビミョーな段差がありますからね。

それでも多少のカスレや乱れは味のうち、とジャンジャン強行していきます。なんせパレット全てが廃棄前のリサイクル品なので、ここでサルベージしないことには燃やされる一歩手前なのです。粗くても使うベシ。

版をこうして固定して作ります

どんぐりの看板ができました

 

 

今回作ったパレットサイン、土佐町の置けるところ、置かせてもらえるところに少しずつ出していきます。いつか目に留まったら、「ああ、あれか」と思い出してくださいね!

 

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私の一冊

石川拓也

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「今日から俺は!!」 西森博之  小学館

あんまり説明することもないのですが、ぼくが中高生あたりで連載されていたヤンキー漫画「今日から俺は!!」。

最近ドラマになっていて「今頃!?」と思っていたのですが、チラッと見てみたらドラマも面白かった。マンガと同じところで笑いました。

これは田井のローソンで見つけて懐かしくなってつい買ったもの。

短ラン、長ラン、ボンタン、金髪‥‥通りで目が合えば「メンチ切った」と殴り合いとか、考えてみればとても不思議なこのカルチャーは現在の中高生には理解できるのでしょうか?

そういえば「今日から俺は!!」以外にも、「ビー・バップ・ハイスクール」「ろくでなしBLUES」「クローズ」「湘南純愛組!」などなど、80年代〜90年代はヤンキー漫画が豊作の時代でした。

完全に前田太尊気取りの同級生もいた記憶があります。彼にとっては黒歴史かも……笑

 

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