「入院心得」 浪越診療所長 おうち牧場主 沢田淳
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山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。
人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。
土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?
みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!
(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)
上野の前の保育所のあった所はむかしは、疫病院と言うて伝染病にかかった人を隔離する病院があった。
そこに足切だぬきと言うて片足の切れた大きいたぬきがおった。
そのたぬきはとにかく人を困らす悪さが好きで、人にとりついては目まいをさせたり、熱をださせたり、命をとったりはせざったけんど人を困らしよった。
そこの近くの道は歩くとカラーン、カラーンと下が空洞になっちゅうような音がしよった。
またそこの近くを夜歩きよったら、ガサガサ言うんでこりゃおかしいと気がつくと、いつの間にか藪を歩きゆう、そんでまたちょっと行くと、ザブザブ言うんでおかしいと思えば、川を歩きゆうと言うようにようだまされるもんよ。
こんなたぬきは、樺のたつ瀬や駒野の上のもちが渕にもおったと言うことじゃ。
川村岩亀(「土佐町の民話」より)
絵:川原将太