「ガザ 戦争しか知らないこどもたち」 清田明宏 ポプラ社
シナイ半島の北東部、東地中海に面した360平方キロメートルほどの小さな土地。壁に周囲を取り囲まれ、まるで収容所のような都市“ガザ”。この地域では「イスラエル」と「パレスチナ」二つの国が何十年もの間、争い続けています。
21世紀以降に限ってみても、2006年、2008年~2009年、2012年、2014年、2018年と戦争が起きており、2023年10月にはこれまでの5度の戦争と比べても一番悲惨だ、といわれるほどの戦いが始まってしまいました。
この写真絵本は今から8年前、2015年に出版され、戦争を生きのびる日々しか知らない子どもたちの過酷な生活を伝えてくれました。そして、ガザを再建していく希望の未来、これ以上「戦争しか知らないこどもたち」を増やしてはならないという決意に満ちていました。それはこの本を手に取ったすべての人に願いでもあったと思います。けれど現実は厳しく、再び両国間で戦争は起こり、多くの子どもたちや市民が命を落としています。
一日も早く武力ではなく知力で平和な日常を取り戻し、戦争しか知らない子どもたちが、戦争を知らない子どもたちの親となる日が来ることを願ってやみません。