「ぼちぼちいこか」 マイク=セイラー作, ロバート=グロスマン絵 今江祥智訳 偕成社
新年度が始まりました。新入生たちもそろそろ新しい環境に慣れた頃でしょうか?
この時期になると思いだす女の子がいます。一年生なり2~3カ月が過ぎたころ、ボソっと「いつ幼稚園に戻れるがぁ?」とつぶやきました。 すると高学年のお姉さんが間髪いれずに「なに言いゆうが。もう戻れんがでぇ。これから小学校に6年、そのあと中学校で3年、高校も3年。最低でも12年は学校に行かんといかんが!」と教えてあげました。それを聞いた女の子の情けない顏ったらありません。もう可笑しくっておかしくって、笑いをこらえるのに必死でした。
まだ6年しか生きてない女の子にとって、12年なんて先も先。オドロキ、途方にくれたのは仕方のないことですね。いえいえ、小学一年生ならずとも、仕事や人間関係、介護や闘病などなど、一日一日を乗り越えながらも、果てが見えないつらさにため息をつく大人もいることでしょう。
そんな時、とりあえず悩み事はわきに置いて、絵本を開いてみてはいかがでしょうか?
たとえば今江祥智さんの関西弁の名訳がたのしい『ぼちぼちいこか』。
時間はまだまだたっぷりあるのです。そのうち良いこともあるあろうし、新たな展開が訪れることもあるでしょう。
とりあえず毎日機嫌よく、ぼちぼちいこかとすごしましょう。