土佐町栗木地区に近藤潔さん(95歳)という方がいます。潔さんは書くことがとても好きな方で、今まで、高知新聞の「あけぼの」というコーナーに何度も投稿されてきました。とさちょうものがたりでは、「95年間のキヨ婆さんの思い出」と題し、土佐町で過ごした思い出を綴ってくれます。
昔々お世話になりました。
高知市昭和町での生活が始まり、兄がいる間は弟のことは何も心配は無く学校に行けたのですが、まだ5才の弟のこと、両親は働きに行って誰もいない家に一人置くことも出来ませんでした。結局学校に連れて行くことになり、授業中は運動場の鉄棒の下の砂場で遊んでくれて、勉強が出来たのでした。
雨の日は廊下とか、教室の隅とかで遊んだり眠ったり、何とか勉強の邪魔にはならず、午前中の授業を済ませて帰れたのでしたが、たった一度迷惑を掛けた事がありました。
いつもの様に外で遊ばせていた時、教室へ子供の泣き声が聞こえて来て、あれは弟の声だと思っていると、給食のおばさんが廊下で手招きをしたのです。
出て行くと「弟さんがウンチをしたらしい」と小声で云ってくれました。行って見るとズボンもパンツも脱がずにウンチをして泣いていたのです。
「帰って着替えを取って来なさい、見ていてあげるから」と言ってくれて、「さあたいへん」。全速力で帰って着替えを持って行って、おばさんのお陰で着替えが出来たのです。こんな失敗一人だったらどうしたかと思うと、今だに忘れられません。
子供ながらに優しい人の気持ちが伝わって、95才になっても忘れらません。給食のおばさん、本当に有難うございました。