「海のアトリエ」 堀川 理万子・著 偕成社
ちょっといろいろ、いやなことがあって、学校に行けなくなった主人公の女の子が海のそばに住む画家の女の人と暮らした一週間だけの夏のひとときの物語。
朝、いっしょにふしぎな体操をして、海に散歩にでかけて波の音を聞いて風に吹かれる。絵を描いたり、ねことあそんだり、昼寝したり本を読んだり、考え事したり‥ そのうちとおくの海と空がオレンジ色になったら、香りのする水で乾杯をして…。
画家の女の人は、女の子に何があったのか問いただすこともなく、ただただそばにいて同じ時間を過ごす。自然のリズムに耳を傾け、様々な創作活動を通して女の子の心は癒やされ元気を取り戻していく。たった一週間だけの共同生活が、永遠にその少女の心を支える特別な思い出となる。
心がちぢこまって窮屈なように感じたら。感性を刺激され、やわらかで自由な心を取り戻せるセラピーのような一冊だと思いました。