去年の秋の終わりに渋柿をたくさんもらった。
スーパーや近くの産直で買い物をしていると、知っている人に会うことは小さい町ではよくあること。
その日もたまたま普段は行かないような時間に産直に行き、出て来たところに、とさちょうものがたりではおなじみの百合子さんに会った。
百合子さんはいつも屈託のない笑顔で話しかけてくれる。
「柿いらない?」と笑顔で言われれば「いります。」と言いたくなる。
その柿も百合子さんが知り合いのおじいさんからもらったもので、たくさんあるという。(そのことについての記事はこちら)
柿といっても渋柿。
今まで何回か干し柿を作ったことはあるけれど、カビてしまったり、なかなか上手にできたことがなかったので、もらってもうまく干し柿にできるのか、うまくいかなかったら・・・。
もらっていいものかどうか数分悩んだ末、「今年は寒いから上手にできると思う」という言葉を信じて試してみることにした。
大きな袋に入った渋柿はたくさんありすぎてなかなか手が出ず、数日袋の中で干されるのを待っていたけれど、家々の軒下に並んだ柿を見るたび、「今日こそは、今日こそは」と思いながら数日たち、やっと干すための皮剥きを終え、ビニールの紐に吊るされた。
お世辞にも上手にくくりつけて干せたとは言えない出来だったけど、誰かに見られるようなところに干してないのでよしとしよう。
一列に並んだ柿は、なんだか誇らしかった。
家の中のコタツに座って見える場所に、秋から冬の風物詩と言えるものが我が家にもある。
今まで他人の家にしかないものと思っていたものが我が家にもあるというのは、不思議となんだか嬉しかった。
自分の家に渋柿が干されたことで、他人の家の干し柿が気になる。
どんな種類の紐で吊るしているのか。どんな風に吊るしているのか。日を追うごとにどんな色をしてくるのか。など。
友人の家に遊びに行くと、これも同じく百合子さんからもらったという渋柿がシュロ(?)縄で干され、夕日色と言ってもいいようなきれいな半透明の色になっていた。それを見て我が家の干し柿との違いにびっくりもしたけれど、同じ人にもらった柿なのに干す場所で全然違ったものになるんだな〜と感心した。
我が家の柿はずっと干されたまま、お正月が来た。
おせち料理に入れたいなと思いながらも、両家の実家に帰ることになっていたので美味しい料理を期待して2日間でそれぞれの家に帰った。
旦那さんの実家に帰った時、料理の中に干し柿入りなますを見つけ、「お!作りたかったものがここにあるな〜。やっぱり作れということやな〜。」と思い、お正月明けてしばらくして干し柿入りなますを作ることにした。
干し柿入りなます
材料:
干し柿・大根・すりごま・砂糖・酢・塩
作り方:
干し柿はヘタを取って縦に開き、種子を取って細切りにする。
大根は太めの千切りにして塩をし、水が出たら絞る。
干し柿・大根・砂糖・酢・すりごまを混ぜ合わせる。
人参や雑魚などを入れても良い。
生柿は体を冷やすけれど、干し柿は胃腸を丈夫にして体を温める。
整腸作用もあるので便秘にもよく、二日酔いにも効果あり。
大根は消化不良や胃酸過多の時に。胃もたれや胸焼けをおこしにくく、二日酔いにも効きます。
生の大根は体を冷やすので、大根と干し柿を合わせることで体を冷やしすぎず、二日酔いにもきく、酒飲みにぴったり食材の組み合わせ!
ということになりますね。
ちなみに温めた大根は体を温めるので、ゾクゾク寒気のする風邪の時などは消化のよい大根おろし鍋などがおすすめです。
我が家の干し柿は、見た目は悪いけれど、ちょっと固めで程よい甘さの美味しい干し柿になった。
こんなに美味しくできたのは初めてのこと。
今年の寒さとあの場所で百合子さんに出会ったことに感謝しながら、今度はまだまだたくさんある干し柿をどうするか考えよう。