「ケレー家の人々」 ケート・D・ウィギン作,村岡花子訳 角川文庫
何か失敗して気が滅入ってしまった時の特効薬は、昔懐かしい家庭小説を読むこと。日常生活の中から、何かしら美しいものを見つけ出しては子どもらを楽しませ、自分の失敗は笑い飛ばしてしまう主人公たち。そんな彼らにいつの間にか感化され、落ち込んだりささくれていた気持ちもいつしか落ち着いてくるのです。
よき父でありよき夫でもあったケレー氏を亡くし、貧しい田舎暮らしを始めるケレー一家。けれども一家はケレー母さんを中心にまとまり、貧しさをも楽しむたくましさとユーモアを持っていました。とにかく、このケレー母さんが惚れ惚れとする素敵な大人なのです。なかでも、自分の大学進学のためならば家族が犠牲を払うのは当然だと主張する長男に対する言葉は、最高にステキです!