笹のいえ

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最近の、母ちゃんのとなり

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母ちゃんのとなり」では、今晩誰が母ちゃんの隣で寝るのかと言う兄弟間の争いを書いたが、最近ちょっとした出来事があったので、お知らせしたい。

両側には二人しか寝られないので、四人兄弟では当然溢れるヒトがいる。しかし、どうしても母ちゃんのとなりで寝たい。その想いが極まった結果、なんと「母ちゃんの上で寝る」と言う荒技が登場した。読んで字の如く、母親の上にピッタリと張り付くのだ。はじめて見たときはビックリした。

そんな不安定な場所で寝ようとする子どもも子どもだが、抵抗しない妻も妻である。

両人ともさぞかし寝にくいだろうに、と思っていたが、ふたりとも寝息を立てていて、これまたビックリする。しばらくすると、流石に疲れるのだろう、その子が上から降りるのだが、その際寝ている兄弟と母ちゃんの隙間にちゃっかりと潜り込むのだった。

そんな様子を観察している父ちゃんのとなりには、相変わらず誰もいない。しかし、記事のネタになったからヨシとしよう。

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笹のお風呂の入りかた

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前回記事にした五右衛門風呂について、興味がある方や泊りにいらした方に説明する機会があるので、この場でも「笹のいえ流」お風呂の入りかたをお伝えしようと思います。また、いつか笹のいえに泊まってみたいという方への参考になれば幸いです。

・お風呂が沸いたらすぐ入る。

ガスや電気のお風呂ならボタンひとつでオンオフできるけど、薪風呂は温度の調整が難しい。熱いからといって一度火が消えてしまうと再度焚きつけるのに時間がかかってしまう。入浴時間中は基本的に常に火がついていて、湯温は徐々に上がっていくので、少しぬるめから入るのがオススメです。入浴準備に時間が掛かり過ぎると、今度は熱すぎて入れないということも。

・服を脱ぐ前に、水温を確認する。

適温だろうと早合点して服を脱ぎ、お湯に手を入れてみたらまだ冷たかった(または熱すぎた)ため、寒い浴室に裸で何分も震える羽目になった経験が何度かある。お客さんに入ってもらう場合、僕たちが事前にお湯の温度を確かめますが、ちょうど良い湯加減には個人差があるので、必ず確認をお願いしています。

・蛇口からは水しか出ないので、湯船のお湯を上手に使う。

浴室にあるたらいに上がり湯を貯めたり、入る前にかけ湯したり身体を洗うと、浴槽のお湯を綺麗にキープできます。ちなみに、シャワーはないので、頭からお湯を浴びるときは手桶をどうぞ。

・蓋を沈める。

先日の記事でもお伝えしたが、これがないと足の裏を火傷してしまうので、忘れずに使う。沈めるには少しコツがいるけれど難しくはありません。特に小さなお子さんと一緒のときは、大人が先に入って蓋を沈めてあげると安心です。湯が子どもに熱すぎる場合は、たらいに温(ぬる)くしたお湯を用意して、身体を慣らしてから浴槽に入るのも良いかもしれません。

・熱いと感じたら遠慮なしに水で埋める。

釜の下では薪が燃えているので、湯温はゆっくりと上がっていく。「温くしちゃうと次の人に迷惑になるのでは」と、熱いのを我慢して入り、すぐ出てきてしまう心優しい方がいるけれど、心配ご無用。温度が下がっても、薪を足せば湯が沸きます。

・石鹸などは備え付けのものを使う。

上下水道のない笹のいえでは環境負荷を考えて、シャンプーリンスの類は使いません。備え付けの生分解する手作り石鹸や自家製柿酢シャンプーをご利用ください。また同じ理由で洗剤や歯磨き粉も使っていません。ご協力をお願いします。

・身体が温かいうちに布団に潜り込む

じっくり入れば、入浴後もしばらく身体がポカポカします。とは言え、時間とともに冷えてくるので、その前に服を着込むか、布団に入って、その温もりを楽しみましょう。寒い時期には湯たんぽや豆炭あんかをお渡ししますので、布団の足元に忍ばせておくと、朝まで温かいです。

 

なんだか面倒そうでしょうか?確かに一般的なお風呂と比べると、気を付けなくてはいけないことが多いかもしれません。それでも、五右衛門風呂の気持ち良さ、一日の疲れから解放される温かさには敵いません。

より快適にお風呂を利用できるよう、今後さらなる改修や使い方の変更があるかもしれません。初めてお使いの方にはその都度ご説明しています。

 

写真:改修したばかりのころ。いまでは使い込まれて、赴きを感じる雰囲気です(ボロくなった、とも言う)。

 

五右衛門風呂

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五右衛門風呂

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今更感がありますが、うちのお風呂は五右衛門風呂。

引っ越しにあたり、住む家の理想条件のひとつが薪風呂だったから、願ったりだった。ただ、もともとあった風呂釜はヒビが入っていたし、その他にも直したい箇所があったので、五右衛門風呂作成経験者の知人たちと改修することになった。

実際解体してみると、古い釜を取り出すだけでも重労働であることが分かった。周りのタイルやセメントをトンカチやドリルで打ち砕き、外に運び出して、釜の下にある釜戸も取り除いて作り直した。

釜戸はサイコロ状にした粘土で成形していく。粘土は柔らかいときは変形しやすく扱いやすい。そして乾燥すると硬くなり熱に強く、高温になる焚き口には適している。奥行きを80cmほど取り、長い薪も入るようにした。予め購入しておいた鋳物製小判型五右衛門風呂を二人掛かりで運び入れ、排水しやすいように少しだけ傾けて据え付ける。それからその辺に転がっていた大きめの石をセメントで固定していった。

煙道は作らなかったので熱効率は悪いが、浴槽の側面が熱くならず、子どもにも安心だ。

釜の下から熱するため、入浴時に直接底を触ってしまうと火傷する。蓋を沈めて、その上に座るようにして湯に浸かる。ただうちのは木製なので、ある程度の体重がないと蓋が浮かんでしまう。改修当初の五年前、親と一緒でないと入れないほど小さかったうちの子どもたち。今では体重も人数も増えて、自分たちだけで入れるようになった。こんなところでも成長を感じてしまう。

五右衛門風呂最大のおすすめポイントは、遠赤外線効果だ。

薪で沸かした湯は、身体の芯から温まる。時間を掛けてじっくり入れば、湯上がり後もしばらくぽかぽか、じんわり汗をかいてしまうほどだ。だから夏はお湯を浴びる程度にしてる。薪がもったいないので、近くの川で水浴びして、お風呂がわりにすることも多い。

笹に引っ越す前に住んでいたアパートはガス風呂だった。真冬は、いくら長風呂をしても湯冷めをしてしまって困った(体質によるのかも知れない)。寒い日が続くと、車を何十分も走らせて温泉に行くのが楽しみだった。けれど、五右衛門風呂にしてから温泉欲がピタッとなくなった。熾火から発生する遠赤外線が心も身体も温めてくれた。

冬の気配を感じる季節となり、お風呂に入るのが嬉しい季節だ。

翌朝の贅沢な楽しみが、朝風呂。夜、皆が入り終わってから薪を一本加えておく(この辺が贅沢)と、翌朝も温かい風呂に入れる。窓を全開にして、湯気の立ち昇る浴槽から、夜が白々と明けていく向かいの山々を眺めるのもオツなものである。子どもたちにも人気で、いつもは布団から出たがらないくせに、「お風呂あったかいよ」と声を掛けると、飛び起きて来る。釜戸の火はすでに消えているので、蓋なしで入れるのも、子どもたちにとって嬉しいらしい。蓋がない分いつもより深くなった浴槽で潜ったりして遊んでる。

残り湯は洗濯に使っている。冬の山水は、とびきり冷たいので、この湯温はありがたい。最後の最後までこの温かさを利用させてもらう。

 

写真:2014年撮影。脱衣所の床に柿渋を塗るお手伝い。弟に刷毛を取られて不満顔の姉。

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新米

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毎年お世話になっている地域の農家さんに乾燥と籾摺りをしてもらって、ついに新米が食べられるようになった。

11月上旬、よく晴れる日が続いたので、稲はすでに十分乾燥していた。しかし、天日干し米は場所によって、乾燥具合にムラが出るので、保存性を良くするために機械でも乾燥させることにしている。

今年は天候の影響で、全国的に豊作とは言い難いシーズンだったらしい。笹の田んぼも例年に比べるとだいぶ収量が少なかった(うちの場合、栽培方法などにも改善点があったのだけれど)。それでも、主食であるお米を自分で育て、収穫し食べられると言うのは単純に嬉しいことだ。

新米が入った真新しい米袋を、よいしょよいしょと縁側に運んだ。所狭しと積まれた袋を眺めて、これから一年間このお米を食べていくのか、と実感が湧いてくる。文字通り、僕ら家族の血となり肉となるのだ。

早速新米を味わいたいところではあるが、ありがたいことに去年のお米がまだ残っているので、もう少し先となりそうだ。

ちなみに、今シーズンの収量は、約十俵(約600キロ)。反当たりの収量だとおよそ四俵と言うところだ。一般的な米農家さんの七〜十俵と比べるとだいぶ少ない。より収量が上がるよう、さらなる精進が必要である。

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稲刈りの風景

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週末ごとにやってくる台風に振り回されながらも、晴れの続く日を狙って稲刈り作業をした。

一番大きな田んぼで稲を刈るときは友人たちに声を掛けて、手伝ってもらった。

午後の日も傾いて来たころ、それまで笹で遊んでいた友人家族と子どもたちが、おやつを持ってきてくれた。四家族15人。土佐町でお米を作りはじめて今年で六回目となるが、田んぼにこんなにも人が集まったのははじめてかもしれない。

早々に食べ終わった子どもたちは、稲が刈られて広々とした田んぼで、走り回っていた。

何人かに「お手伝いしてくれる?」と聞くと、嬉しそうに藁束を運んだり、落ち穂を拾ってくれた。そのうち、落ち穂拾い競争になって、一等賞は97本集めたナナちゃん!

おしゃべりしながら、笑いながら、一緒に働く。

昔の稲刈りの風景もこんなだったのかな? 稲を干し台に掛けながら想いを巡らす。

土を稲もよく乾いていたので、作業は順調に進み、一反ほどの広さを一日で終えることができた。これからの天候にもよるが、三週間ほど天日で干したあと脱穀をし、籾摺りをする。新米が食べられるまでもう少しだ。

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種を蒔いてわかること

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10月に入り朝晩涼しくなってきたころ、枝豆が旬を迎えた。

自分で大豆を育てるまで、「若い大豆が枝豆である」と言うことを知らなかった。それぞれ別の品種だと何となく思っていた。そして、枝豆は夏にできるのだろう、とずっと信じてた疑わなかった。だって、夏と言えば、ビールと枝豆ではないですか。

しかし実際に畑で大豆を育ててみると、枝豆が食べられるのは朝晩の涼しくなる秋のはじめのころ。ビールにはちょっと肌寒い季節だ(品種や栽培方法によって夏に採れるものもある)。

そう言えば、自分で種を蒔くようになって、いろんなことに気づいてきた。

 

オクラの花は、オクラの味がする

空豆のさやは、空を向いて出てくる

ニンジンの種は、毛がいっぱい生えててちょっと怖い

そして、枝豆が本当に美味しいのは、ほんのいっとき

 

さて、枝豆は子どもたちの大好物。茹でたてにさやの上から塩を振って食べるのが一番ウマい。食卓に登ると「いただきます」と同時に、一斉に手が伸びる。弟たちは一粒ひと粒口に入れ、姉は茶碗にせっせと取り出し山盛りにしてから食べる。末っ子はその豆をよこせと催促する。

枝豆ひとつで食卓が随分と賑わう。

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廃材

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以前「」という記事で紹介したが、笹のいえでは、三度の料理にはかまどを、お風呂は五右衛門、冬になれば毎日薪ストーブに火が入る。

燃料となる薪はいくらあっても足りないくらいだ。

間伐した杉の木や、剪定した枝などをもらうことがあるが、改修や解体したときに出る廃材も連絡を受けて取りに行くことがある。

廃材はすでに乾燥しているから、すぐに使うことができて重宝する。

柱などの太い材は長めに切って、風呂やストーブ用に。

細い材は30cmほどに切り揃えて、かまど用薪コンテナに保管しておく。

また、腐りなどなくまだ材として使えそうなものは倉庫へ。

廃材には釘などの金具がついている。だから、燃やした灰は冷えたあと集めておき、その中に磁石を潜らせて、鉄くずを回収する。灰は必要に応じて、畑などに撒いている。

この日は改修工事で出た廃材をいただいてきた。電動丸ノコで、一本ずつ、釘などを切らないように確認しながら、切断していく。薪はコンテナや棚に積み、中途半端になった木っ端も別の入れ物に入れて、焚き付けに使う。おが屑はコンポストトイレで利用する。

そんな地道な作業を、軽トラ一杯くらいほどしていると、あっという間に時間が過ぎていく。

他にもやることがあるのだから、もっと合理的で短時間で済む方法をとか、いやいや、そもそも、もっと楽な近代的な暮らし方を、などと作業しながら、頭の中でいろんなことを考える。が、実はこんなチマチマした作業が僕は好きなのだ。

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笹の夏休み 2019

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話題が前後して申し訳ないのだが、7月8月に開催した「笹の夏休み」全三回が無事終了したと言うご報告。
県外から、遠くは関東や九州からの参加があった。初めてのひとり旅で初飛行機に乗ってやってきた子、去年参加して「また行きたい!」という願いを叶えたリピータ、兄弟や友達と一緒に応募してくれたグループ。計13名の参加者たちは、笹での暮らしを通して、夏休みの思い出を持って帰ってくれたようだった。

数日間、笹のいえに寝泊まりするこのイベント、日中は、とにかく遊ぶ。川遊びや釣り、アートワークなど、自然に恵まれたフィールドで思い切り体を動かす。料理や掃除洗濯などの家事も子どもたちが中心となって行う。いつ何をして遊ぶのか、食べるのか、子どもたちが決めるので、スケジュールや献立は毎回違う。僕や奥さんを含めたスタッフたちは、天候や個々の体調などから、全体のスケジュール調整や最低限のアドバイスとお手伝いをする。

「今年は、見守りを大切にしよう」と、スタッフとの事前ミーティングで話をした。これまで、初日に決めた日程を予定通り進めようとすると、子どもを急かせてしまう場面が多かった。マッチで火を熾したり、クッキーを成形したり。僕たち大人が待てずに、ついつい手を出して、子どもたちの経験の機会を奪ってしまうことがあった。その反省から、内容を詰め込みすぎず、多少予定時間をオーバーしても子どもたちのペースで体験できるように努めた。変更も状況に応じて、柔軟に対応することにした。

10名前後の子どもたちが集まれば、僕らスタッフが考えている予定や想定を飛び越えて、思わぬ事態が起こることもある。遊びの中で怪我をしたり、連日の興奮からか体調を崩したり、夜中にホームシックになってしまったり。毎回予定外のことがあったが、最終日は皆笑顔で送り出すことができ、ホッとした。

ほんの数日とは言え、僕と奥さんだけで人様の子どもの命を預かるなんて、とてもできないし、企画する気持ちも湧かなかっただろう。しかし幸いにも、想いを共有できる仲間達と、ここで出会うことができた。イベントの主旨を理解し、サポートしてくれる彼らのお陰で、このイベントが運営できている。本当にありがたいことだ。

振り返ってみると大変だったこと、反省すべきところも多い。けれど、その経験からの学びを生かし、きっと来年も企画するだろう。それは収入を得るという経済的な理由だけでなく、ここで子どもたちに何かを感じてもらえるのではないかという気持ちも大きい。

 

写真:「何か作りたい」という子どもたちに、「竹ならいくらでもあるよ」と答えると、どこからか葉っぱも取ってきて、こんな素敵なティピが完成した。作成に特別な技術や知識は必要ないが、「竹と葉っぱでテントを建てちゃおう」なんて発想は、そのとき僕にはなかった。「コロンブスの卵」的、彼らの想像力にはいつも脱帽する。完成後、子どもたちは役を決め、このテントを舞台とする寸劇がはじまっていた。その後の予定があったけれど、しばらく自由時間にした。

 

*ページ下にある「笹の夏休み」タグをクリックすると、関連記事が読めますよ。

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蚊帳

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笹のいえのような木造で古い家は大抵隙間だらけで、戸をちゃんと閉めていても、蚊やアブなどの虫たちがどこからかやってくる。飛ぶ虫だけでなく、ムカデなどあまり近くに来ないでほしい生物も目撃する。

なので、虫の多い夏の夜には蚊帳が登場する。

これを吊るし、裾を敷き布団のへりにたくし込んでおくと、彼らとの遭遇をほぼ防ぐことができる。

その安心感たるや相当なもので、もはや蚊帳なしでは安眠できないカラダになってしまった。

中に入ると、僅かではあるが、音が静かで耳に優しく、眠りも深く心地よい。

出入りの際、裾を素早く上げ下げしないと虫が一緒に入ってきてしまったり、熱がこもりやすかったり、体の一部が蚊帳にくっついているとそこを蚊に刺されてしまったり、快適に使うにはコツがいるが、未体験の方は、ぜひ試してみてほしいと思う。まあ隙間のない家にお住まいであれば必要ないのだけれど。

そんなわけで、9月も下旬になるのに、うちではまだ蚊帳を仕舞えないでいる。

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子狸との遭遇から数日後、今度は鳶に逢った。

たぶん多くの男子たちがそうであるように、僕は小さいときから鷲や鳶などの猛禽類が好きで、図鑑などをよく見ていた記憶がある。保育園から小学校低学年のころよく観ていたいわゆる「戦隊モノ」の中には、鷹をモチーフとしたキャラクターがいたりして、憧れの存在だったのだ。

地域によって頭数の差はあるものの、鳶は山間部においてさほど珍しい動物ではない。土佐町でも毎日のように彼らが空で気持ち良さそうに円を描く姿や独特の鳴き声を見聞きすることができる。どういうわけか、カラスと折り合いが悪く、激しく鳴きながら空中戦を繰り広げている場面にも出くわす。身体は鳶の方が大きいが、これまで僕が見た勝負では、いつもカラスが勝利し、鳶が這々の態(飛んでいる生き物にこの表現が合っているのか分からないけど)で逃げていくのを何度も目撃してる。

この日見つけた鳶は、笹から一番近くにある小さな橋の手摺に留まっていた。僕は、その凛とした姿勢、鋭い目とくちばしに見入っていた。しばらくののち、こちらを一瞥すると翼を大きく広げ、優雅に飛び去って行った。

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