私の一冊

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

石川拓也

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「怖い絵 死と乙女編」 中野京子 角川文庫

この欄で以前も別の本を紹介したことがありますが、中野京子さんの「怖い絵」シリーズはハズレが一冊としてない名シリーズです。

西洋アートの歴史の中で名作と謳われる絵画の数々。その中から、時代背景や作者の意図や、その他諸々、実は「怖い」という絵を丁寧に一作ずつ紹介しています。時の権力者を描いたものなど、政治と密接に絡み合ってる作品が多いので、西洋史としての本とも言えるものです。

中には意に染まぬ権力者からの依頼を断れずに、画家が人知れず絵に含ませた謎解きのような寓意。もしくは絵の中の主人公が辿った悲劇的な運命。

画家の技巧が巧みな分、画面に霊魂を感じさせるような凄みがまた怖さを募らせる一冊です。

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「かわ」 加古里子作,絵 福音館書店

絵巻じたてになっているこの本。蛇腹折りになっている絵をぱたぱたと広げて伸ばしていくと、その長さ7メートル40センチ!(巻尺で測ってみました。)

山から流れ出る水が『たかいやまにつもったゆきがとけてながれます。やまにふったあめもながれます。みんなあつまってきて、ちいさいながれをつくります』。
そして谷間を通り、畑や田んぼに水を満たし、川沿いの牧草を食べる牛たちの喉を潤す。この風景はまるで高知県嶺北地方を流れる吉野川のようです。
そしてさらに大きな流れになり、港を抜け、海に出ます。『ひろいひろいうみ。ふかいふかいうみ。おおきいおおきいうみ。どこまでもどこまでもみずのつづくうみ。うみをこえていこう。ひろいせかいへ』。

その一連の流れが一枚の絵になっています。

山登りをしている人たちや田畑で仕事をする人たち、河原でお弁当を食べている人たち、海の近くの工場。川と共にある生活の様子が細かく描かれていて、見るたびに新しい発見があります。

作者である加古里子さんがこの本の向こうにいるだろう子どもたちの姿を思い浮かべながら絵を描き、お話を作っただろうことがしみじみと伝わってきます。

鳥山百合子

 

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私の一冊

西野内小代

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「50過ぎたらお金は賢く、心はぜいたくに」 沖幸子 祥伝社

 

新聞で紹介されていたのをきっかけに購入。

時々この手の本を読んで刺激を受け、迷いがちな我が生活を修正する必要が生じます。

穏やかな毎日を送るコツ、漠然とした不安からフリーになる習慣等々…。

掃除会社を立ち上げて30年以上のキャリアを持つ達人の心得集です。

西野内小代

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私の一冊

藤田純子

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「夜を乗り越える」 又吉直樹 小学館

明治・大正・昭和初期の時代の文学、近代文学は人間の苦悩をとことん突き詰め、純粋さや隠された邪悪さにどんどん落ち込んでいくような内容に刺激され、自分もいっぱしの読者になって文学者の深さに共鳴できた気がして、次々と読んでいった高校生の時代がありました。

特に太宰治の本はほとんど読んだと思います。太宰にはまるのは若い頃の“はしか”のようなものらしいですね。

どんな内容だったのかほとんど覚えていないのは「恋に恋する」ように「文学に恋していた」のかなと思います。

直木賞作家でお笑い芸人の又吉直樹さんは、多感な子どもの頃、自分のことが全くわからず、
『明るい/暗い/強い/弱い…、どちらにもふりきれない、そしてそんな話ができる相手もいない、ひとりで考え、頭の中で考えがめぐるばかりで答えが出ません。変な人間に生まれてきてしまった、もうどう生きていっていいのかわからない…。
でも本に出会い、近代文学に出会い、自分と同じ悩みをもつ人間がいることを知りました。それは本当に大きなことでした。本を読むことによって、本と話すことによって、僕はようやく他人と、そして自分との付き合い方を知っていったような気がします』と書いています。

この本を紹介して読んでくださった方は全員「とても共感できた」と喜んで感想を言ってくださいました。

機会があればぜひ!おすすめの一冊です。

藤田純子

 

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私の一冊

石川拓也

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「全世界史」 出口治明 新潮文庫

著者の出口治明さんは、ライフネット生命保険株式会社創業者であり、現在は立命館アジア太平洋大学(APU)学長です。

この本は、その出口さんが書いた「全人類史」とも言うべきもの。壮大すぎて世界史の教科書のように感じる方もいるかもしれませんが、もちろん教科書よりもはるかに面白いです。

その理由は、出口さんの視点にあります。

先ほど「全人類史」と書きましたがまさにその通りで、出口さん曰く、

「日本史」や「中国史」「ヨーロッパ史」などは実は存在しない。現在の人間が想像する以上に、太古から人類は移動を繰り返し影響を与え合っているので、一つの地域や国での歴史はそれだけで存在するわけではなく、本当の意味での歴史は「人類史」という一つなのである。

とのこと。

そのように歴史を見たことはこれまでなかったのですが、なるほど確かにその通りと思います。

例えば奈良時代に建立された東大寺の大仏開眼式典を取り仕切ったのはインド人の仏僧だったとか、モンゴル帝国が野蛮なイメージなのは後世作られたもので、実際には人とモノとお金がグローバルに循環する超インターナショナルな世界だった、とか。

あ、もう一つ。スペインが切り開いた「大航海時代」よりはるか以前に中国には「鄭和(ていわ)の大艦隊」と呼ばれる一大艦隊があり、それに比べるとスペインのものは笑っちゃうくらい小規模なものだった、とか。

明の皇帝は、鄭和の大艦隊を解体することでその経費を万里の長城の建設に充て、鄭和の大艦隊がいなくなったインド洋に、やっとヨーロッパ人の小規模船団が入れるようになった、そのことを現在では「大航海時代」と呼んでいる、とか。

もっと書きたいことはたくさんあるのですが、我慢します笑

世界の全ては目に見えないところでつながっている。なぜ現在の日本がこうなって現在の世界がこうなっているか、そういう大きな理解を掴みたい方に強くお勧めします。

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「谷川俊太郎質問箱」 谷川俊太郎 東京糸井重里事務所

詩人の谷川俊太郎さんが寄せられた質問に答えていくこの本は、時々クスッと笑えたり、なるほど〜と思えたり。うん、肩ひじ張らなくてもいいよね、と思えます。

2枚目の写真の質問「大人になるということは、どういうことなんでしょう。谷川さんの「大人」を教えてください」。

その答えは「自分のうちにひそんでいる子どもを怖れずに自覚して、いつでもそこからエネルギーを汲み取れるようになれば大人になれるんじゃないかな。最低限の大人のルールは守らなきゃいけないけど、ときにそのルールから外れることができるのも、大人の証拠」と谷川さん。

なるほど!

これはいいなあ、と思った質問をもうひとつ。

質問:「車、飛行機、そのあとに続く乗りものって、まだないと思うんです。ぼくたちはこれからいったい何に乗ればいいんでしょうか。」

答え:「雲に乗るのもいいし、風に乗るのもいいし、音に乗るのもいいし、気持ちに乗るのもいいんじゃないかなあ。機械じゃない乗りもの、手でさわれない乗りものが未来の乗りものです」

 

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私の一冊

西野内小代

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「日本史の新常識」 文藝春秋編 文春新書

 

現在の教科書で明記されている事柄は、私が授業の中で暗記に勤しんだ時代の「日本史」とは定義等の見直しによって若干ズレが生じているらしい…。

例えば、鎌倉幕府の成立は「いいくに作ろう」の1192年ではなく、実際に武士によって全国の統治が始まった1185年を支持する研究者が多いそうです。

遣唐使等によってもたらされたとされる中国文化も、実は貿易商人の活躍によって交流が盛んになったというのが真実で、遣唐使等は20年に一度ほどの国家プロジェクトに過ぎなかったと書かれています。

活字となった歴史と肌で感じる歴史には温度差があることを実感させられる本です。

西野内小代

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私の一冊

藤田純子

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「お菓子な文房具」 平田美咲 汐文社

ポストを開けると、ポッキーやTOPPOのお菓子の箱に切手が貼られ、それが私宛ての手紙であったなら、びっくり!!笑顔になります。絶対に!

お菓子のパッケージってカラフルでハッピーなデザイン。大人でも幸せになれるのです。それを少し工夫して楽しい文房具に変身させるという、うれしいアイディア本です。

キャラメルの箱はスライド式になっているので、中の箱に小さな取っ手をつけて引き出しに。中にメモ用紙を入れるなど、子どもたちの心にどんぴしゃなアイディアが盛りだくさん。

とても楽しい本です。

藤田純子

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「シロナガスクジラより大きいものっているの?」 ロバート・E・ウェルズ 評論社

地球上の生き物の中で一番大きいのはシロナガスクジラ、なのだそうです。

その事実を元に「シロナガスクジラが100匹入るビン」を積み上げたり、「エベレストを100個」重ねたりなど、私たちが想像できる(?)「でっかい」ものたちを使って、地球や宇宙がどんなに「でっかい」のか教えてくれます。

土佐町には「お話ボランティア」さんという人たちがいて、毎週水曜日の朝、小学校の各学年の教室に行って本を読む活動を続けています。

私もそのうちの一人なのですが、この絵本を今までに何度か読んだことがあります。高学年の子どもたちは「シロナガスクジラ」や「エベレスト」はもちろん、どうやら宇宙は想像がつかないほど広いらしいということもすでに知っているのですが、「太陽」や「赤い星アンタレス」や「銀河」の大きさを自分たちが知っているものと比べて考えると「わあ〜〜〜〜…」という顔に。想像が想像を超えていく、そんな表情になっていきます。

先日、ブラックホールの姿をとらえた写真が新聞の一面に大きく掲載されていましたが、広い宇宙の中にある地球という惑星に住んでいる私たち人間は、宇宙から見たらとても小さな存在なのでしょう。想像力を働かせ、空を抜け、地球を飛び出し、宇宙から今立っている場所を俯瞰的に見つめてみると、力んでいた肩の力がふわっと抜けるような、そんな気持ちになります。

宇宙は広い。その宇宙も自分が立っている地面とつながっているんだよ、ということを思い出させてくれる一冊です。

鳥山百合子

 

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私の一冊

西野内小代

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「自分は自分 人は人」 和田秀樹 新講社

 

このタイトルを見た時、他人と協調することなく自分独自の世界で生きよう…、というやや後ろ向きの内容かな?と推理しながら購入しました。

しかし、全く逆でした。

争う事なく、慌てる事なく、協調して生活するうえでの注意点が満載です。

自分のペースを守る事によって、どのような突発的な事柄に遭遇しようとも動じないための準備を整えておく事ができる。

余裕を持つためには無理に人と歩調を合わせるのではなく、何事においても自分なりの早めのスタートが賢明である事。

攻撃的な反論等に対しては、十分な知識があれば軽く受け流す事も可能。

無駄な争いは避けられます。

その知識の源はやはり読書によって培われると述べられています。

西野内小代

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