私の一冊

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

藤田純子

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「どうぞのいす」 香山美子 作, 柿本幸造 絵 ひさかたチャイルド

小さないすを作って野原に置き「どうぞのいす」と書いたうさぎさん。

幸せそうにパンをほおばるリスたちや、手も口のまわりもべとべとにさせてはちみつを食べるきつねさん、など、登場する動物たちの表情の何と愛らしいこと。

そしてみんなのやさしい心がけがまわりまわってほっこり。

大人たちが忙しさにかまけて忘れがちな、他人を思いやる気持ちを呼びさましてくれる気がします。

藤田純子

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「いもさいばん」 きむらゆういち文, たじまゆきひこ絵 講談社

約3年前に出版されたこの本は、高知県香美市の小松さんという女性の詩を元に作られました。高知新聞に掲載されたその記事を見て、高知市にある星ヶ丘アートビレッジで開かれていた「いもさいばん」の展覧会へ行って買い求めた本です。

丹精込めて育てたいもを誰かが盗んだと、おじいさんは罠を仕掛けたり見張ったり。ある日、うりぼうがいもをせっせと運んでいるのを発見。

「わしの畑のいもじゃ!」と言うじいさんに

「わしの畑?そんなこと誰が決めたの?」
「この地面も山も川も空も、人間だけのもんじゃねえ。」

「雨降って太陽浴びて育ったはずや。雨や太陽も人間が作ったって言うのけ?」「人間が畑なんか作ってひとりじめするのが間違ってる」と動物たちも負けてはいません。

でも、たぬきが叫びます。

「でも、僕は、このじいさんがすごく頑張ってたのをずっと見てた。畑を耕したり、水をやったり。だからこんなに立派なおいもができたんじゃないか」

さて、どろぼうは人間か、動物か?

うーーーん、とみんな考え込む。

それでお話は終わり。

土佐町小学校でのお話ボランティアでこの本を読んだことがあります。どの学年の子どもたちも、うーーーん、という顔になるのが面白い。

私もその答え、まだわかりません。

鳥山百合子

 

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私の一冊

藤田英輔

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「忍者/忍法画報(少年のための)」 初見良昭 秋田書店

【忍者忍術シリーズ第1弾】

忍法・忍術:目的を果たすために、心理学・物理学・地質学・天文学などを科学的に活用し成果をあげるための武術。

昭和40年頃、スポーツ選手や歌手に憧れるように「忍者」にのぼせていました。TVや漫画の影響でしょうが、棒切れを背中に差してリキんでいました。ある時、漫画雑誌の「手裏剣買えるよ」との広告をみて小遣いをためて注文!届いたのはゴム製のヘラヘラ手裏剣。オーッ、そうきたか!と、とても落胆したことでした。

【問①:手裏剣には真ん中にたいてい穴が開いていますが、何に使うためでしょうか?】

いつ興味が薄れ、いつ無理!と悟ったのか思い出しているところです。

昨夜(平成31年4月1日、5月1日から令和)に届いた情報です。
野球に興味が深まり、背番号を自作し、背につけて棒を振り廻している少年がいる。妹まで巻き込んでいる、らしい。(友人の少年らしい)
半世紀以上前(昭和40年頃)の自分を見ている気がしています。リキんだ顔が浮かびます。独りで楽しめるということは大変にすばらしいことです。大人になってからきっと役立ちます。(何が?とは言いにくいですが)

他にも忍者・忍術関連の本が数冊出てきていますので、今日はこの辺で。(問①の答えもこの次に)

*初見良昭(1931~)
1958年戸隠流忍術34代宗家継承。映画「007は二度死ぬ」の忍術指導など多数。完本はヤフオクで14500円ですと。8800円の表示もあります。カバーなし傷み有りは2500円で売られています。

藤田英輔

 

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私の一冊

西野内小代

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「国家の品格」  藤原正彦 新潮新書

 

日本人なら普通に持っている「感性」「情緒」の大切さ。

例えば桜の木、一年のほんの数日しか楽しめない木をとても大切に思い日本中に植えている、その「感性」。

素晴らしい論理もまず出発点が大切、その出発点を選ぶために必要とされるのが蓄えられてきた「情緒」。

名作や古典を読む事もその情緒をはぐくむうえで必要と、読書の必要性が説かれています。

世界に対して卑屈になる必要などない!と強く後押ししてくれます。

西野内小代

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私の一冊

藤田純子

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「ターシャの輝ける庭」 ターシャ・テューダー著 メディア・ファクトリー

今、桜が満開となりました。

草花や木々は眠りから目覚め、うーん!と背伸びをするかのように伸びやかに春を告げています。

美しい色とりどりの花、若々しい緑。

自然界は人々の心を生き生きとさせ、またなぐさめてくれます。

この季節になるとページを開きたくなる、この「ターシャの輝ける庭」。

1972年、50代のターシャが自給自足の一人住まいを始めた時からつくり始めた、庭の春から秋までの庭の写真集。

92歳で没した彼女の晩年の頃の静かで穏やかで、幸福そうなたたずまいを見るのもうれしいです。

藤田純子

 

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私の一冊

石川拓也

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「BHUTAN A SKETCH BOOK」Doug Patterson Tarayana Foundation

 

今年2月、ブータンにGNH(国民総幸福度)の勉強をしに行ったときに見つけた本です。

発行元のTarayana Foundation(タラヤナ・ファウンデーション)というのはブータン最大の社会事業組織 (NGO?)です。視察に行き話も伺ったのですが、実に様々な分野での事業を、驚くほどの少人数で行っています。

ブータンの各地方にプロジェクト・マネージャーを置き、現場で必要としている施策を、主に外国のファンドの資金により実現していく。

例えば、昨年度は地方の貧困地帯に500軒の家を建てるプロジェクト。ぼくが訪れた際はそのプロジェクトのレポート時期にあたり、一年やった結果、どういう資金の使い方をしたのか出資先に報告するということでした。そしてその結果を出資先が良しとすれば、また来年度も500軒建てることになります、と担当者が説明してくれました。

他にも教育、医療、ラジオの普及(情報格差の解消)などなど活動は多岐に渡ります。

この本は、タラヤナ・ファウンデーションと同じビルにあるタラヤナ・ショップで販売されていたもの。

タラヤナ・ショップもタラヤナ・ファウンデーションの活動の一環で、ブータンならではの素材を使った雑貨などを販売しています。

その素材はすべて、ブータンの地方で農村の人々が作ったものだそうで、その収益が彼らの収入になるという仕組みです。

本の内容に話を戻すと、ダグ・パターソンはロンドン育ちの画家。世界の様々な場所を旅し、独特のタッチで風景や人物を描いています。

その生き方と絵のタッチが、単純に好きやなぁと思います。

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「はてしない物語」 ミヒャエル・エンデ著 岩波書店

この表紙の写真を見てください。あかがね色の布張りの表紙の真ん中に描かれているものは何でしょう?

そう、ヘビです!2匹のヘビがお互いのしっぽをかみ合って、ぐるりと円を描いています。
その円の中に描かれた題名が「はてしない物語」。

本の手触りも、手にした時の感じも最高です。なんて素晴らしい装丁なのでしょう。

このあかがね色の本そのものがこのお話の中に登場するのですが、そのことに気づいた時の驚きといったらありませんでした。お話と現実がつながったと言ったらいいでしょうか。

 

このウェブサイト「とさちょうものがたり」がまだ名前を持つまえのこと。サイト名を何にしようか、ああでもない、こうでもないと頭を悩ませていた時に、ふと目に飛び込んできたのがこの本でした。

人はみな、ものがたりを持っているのです。
世界中のあちこちに、その人だけのものがたりが散りばめられています。

これからも土佐町のものがたりを大切に紡いでいきたいと思っています。

鳥山百合子

 

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私の一冊

西野内小代

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「キリンビール高知支店の奇跡」 田村潤 講談社

 

 「高知」と題名に記載されていれば反射的に手が伸びます。

「24時間戦えますか?」というキャッチコピーが世に出た頃の企業戦士を彷彿させる営業についての戦略本です。

人と人の繋がりがいかに大切か、不可能と思われた目標を制するのも、とどのつまりは人間によって成し遂げられる事等、営業のみならず多くの事に共通しているように感じました。

この本を読んで以降「たっすいがは、いかん!」というフレーズをレストラン等で見かけると、キリンビールを首位奪還へと導いた最先端の営業の方たちのあふれ出るエネルギーが文字からほとばしってくるように感じます。

西野内小代

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私の一冊

藤田純子

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「変なお茶会」 佐々木マキ 絵本館

今年も、とらんすばーる,ろまーなさんから招待を受けたお客様たちが世界各地から一年ぶりの再会を楽しみにして集まります。

やがて月がのぼり、岩山から天然のココアがわく。そのココアを一同おいしくいただくのです。ほんとうにへんてこりんなお茶会の話です。

その絵は奇抜で、ハッとする楽しさ!ゆえ、作者の佐々木マキさんはロングな髪をソバージュ、ふわふわにさせたおばさまではないかと想像したけれど『絵本作家のアトリエ』に載っていた佐々木マキさんは、シャツのボタンを首まできちんととめているような、ブレザーを普段からちゃんと来ているような、まじめそうなオジサマでした。そのギャップがおもしろかった。

得てして人とはそうしたもので、見かけではわからない内面のおもしろさを誰でも持っているのだろうなあと、あらためて思ったことでした。

藤田純子

 

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私の一冊

石川拓也

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「ホモ・デウス」 ユヴァル・ノア・ハラリ 河出書房新社

 

イスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリが書いた「これから先、人類はどうなっていくのか?」という未来予想図。ある国の未来とか経済の未来、ということではなく、「種としての人類」の行く末を論じた本。

「ホモ・デウス」という語はホモ・サピエンスの次に位置するであろう神性を帯びた存在としての人類、という意味です。

キリスト教的な意味での神性ではなく、ヒンズー教の神のように生々しく人間臭い、それでいて「不死=神性」を手に入れた者。それが今後科学が発展していく中で、遅かれ早かれ人類が求めていくものであろうということです。

この本の巻頭には献辞として、「S・N・ゴエンカに捧げる」と記されています。
あ!なるほど!と思ったのですが、S・N・ゴエンカさんはヴィパッサナー瞑想の創始者の名で、「人間の感情や感覚の全ては電気信号である。」という考察を基にしています。
そしてこのことが、実は色濃くこの本の内容に影響を与えているということは、発見の喜びでもありました。

 

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