太陽の昇る前、のそりと布団から這い出して、台所へ。
ストーブに火を入れ、寒さで水が凍ってないことを確認して、ヤカンで湯を沸かす。
予め自分の好みに焙煎したいつもの豆を、いつもの量ミルサーに入れ、外に出る。ゴリゴリと豆を挽く音で、熟睡中の家族を起こさないように。挽き具合は少し粗め。
冷たい空気を吸い込んで、白い息を吐く。今朝もしっかりと冷い。起きはじめた頭の中で、ぼんやりと今日一日何をしようか考える。
しゅんしゅんとヤカンが湯気を上げはじめたら、片手鍋とタンブラーと茶漉しを準備する。
紙のフィルターやネル、繰り返し使えるエコフィルター、水出しにフレンチプレスなど、いろんな淹れ方を試しているが、最近は茶漉しでやってる。
ストーブの熱で温まった片手鍋に、珈琲が浸るくらいのお湯を先に入れてから粉を投入し、二分ほど蒸らす。
それから適量のお湯を加えて30秒くらいしたら、茶漉しをセットしたタンブラーに注ぐ。
目が荒いので、底に細かい粉が溜まるが、慣れれば気にならない。
抽出後の珈琲はコンポストバケツに。
フィルターを買う必要が無いし、ゴミも出ないので気にいってる。
以前、七輪で炭を熾して焙煎していたが、ものすごく時間が掛かったのでやめてしまった。最近ネットで手回しの焙煎器を購入し、カセットコンロで炒ってる。生豆もネットで買い、申し訳程度にハンドピッキングする。ここで弾かれたクズ豆もコンポスト行き。
焙煎時間は15分くらいが目安。二ハゼがはじまって白い煙が出るころ、豆に少し油が出るくらいが好み。酸味はほとんどなく、雑味が多いが、僕の好きな味だ。
タンブラーからお気に入りのカップに珈琲を注いで、鼻に届く香りと一緒に最初のひと口を啜る。これが一番美味しい。体調や気分によって味の感じ方が違うから面白い。
膝に置いたラップトップでネットサーフィンしながら珈琲を楽しんでいると、ゴソゴソと家族の起きる音がしてくる。
今日も一日がはじまる。