私の一冊

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

西野内小代

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「アフロ記者」 稲垣えみ子 朝日文庫

何年か前「アフロ記者」の密着取材をテレビで観た事を思い出し、表紙の写真を見て即買い。

シンプルライフ、省エネ生活を日々目標とし実践している。田舎での住環境だったら可能かとも思われますが、あの大都会東京で実行している所にとてつもなく強い意思の力を感じます。

社説を担当していたという経歴が示すようにルックスとは180度違い、基本の確実な積み重ねによって社会を見つめている目を感じます。

「それでもマスコミで働きたいですか」という章では必死の覚悟について述べられています。

どのような仕事でもきっと同様に必死な姿勢が求められるのでしょうね。

西野内小代

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

川村房子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「なりたい」 畠中恵 新潮社

ファンタジー時代小説。愉快で愛嬌たっぷりな妖(妖怪)が繰り広げるファンタジー。しゃばけシリーズ第十四弾。

江戸有数の廻船問屋の跡取り息子。限りなく病弱な離れで暮らす一太郎。

亡くなった祖母が大妖であった故、一太郎も少しはその血をひいており、店で働くもの、離れに陣取っているもの、世話をするものと妖たちに囲まれて過ごしている。

そんな一太郎の元に、どこから聞いたのか助けをもとめてやってくる。

消えた死体を捜せ、猫またの長をきめろ、おまけに来世でなりたいものを決めろと無理難題。一度出かければひと月も寝込んでしまう病弱さでありながら、屏風のぞきや貧乏神、鳴家、おしろに小鬼等に助けを借りて解決に導いていく。

妖たちはお菓子や料理、お酒をお供えしてもらえば文句なし。

「妖になりたい」「人になりたい」「猫になりたい」「親になりたい」「りっぱになりたい」。

願いをめぐる5つの物語。

川村房子

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

西野内小代

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「長宗我部」 長宗我部友親 バジリコ

野本先生(土佐町中学校)の幹勇記念館でのお話を拝聴し、しまってあったこの本を引っ張り出し再度読み直してみました。

時には類推も入りますが、筆者が中興の祖「元親」の弟の末裔という事もあり、思い入れ強く系譜を丹念に辿っていく構成となっています。

血筋を絶やさない事を宿命として背負い、ひたすらに生き抜いてきた名門の誇りを感じます。

嶺北地方と深く関わる一族ですから一読をお勧めします。

西野内小代

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

石川拓也

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「聖の青春」 大崎善生 講談社

10年か20年以前に読んだ本ですが、ふと思い出したので紹介したくなりました。

松山ケンイチ主演で映画化もされたのでご存知の方も多いかもしれません。「聖の青春」この本が原作です。

タイトルの「聖」とは村山聖。とんでもなく強かった将棋棋士。羽生義治と並び称され、ただ幼少期からずっと腎臓の病を患い、30才に届かずして亡くなった夭折の天才と言われています。

その村山聖の人生を追ったのがこの本。自分の人生が長くないことを小さな頃から自覚して、おそらくそれが理由で駆け抜けるように生きていったような印象があります。

この本は難しい内容ではないので、小学校高学年以上だったら楽しめると思います。

たまに村山さんの実際の棋譜が出てきます。それがまた芸術的というか、閃きの輝きというか、羽生さんの棋譜でもたまに感じることがありますが、棋譜が「美しい」。

将棋が少しでも解るとさらに深くおもしろくなる本でもあります。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

川村房子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「ふしぎな駄菓子屋銭天堂2」 廣嶋玲子 偕成社

路地の奥にある小さな店。古びたたたずまいの店で「銭天堂」の看板がかかっている。

「なにかお探しでござんすか?」声をかけるのは、小山のように大きくてどっしりしているうえに、大きな古銭柄をあしらった赤紫の着物で迫力満点。髪は真っ白だけど、福々しい顔にはしわがなくつややかな店主。

そしてそこにはひょんな事から迷い込んだ幸運なお客さんがやってきて、今、一番欲しいものがびっくりするほど安い値段で手に入る。

盗み名人になりたい者には「怪盗ロールパン」、病気を治せる人になりたい女の子には「ドクターラムネット」など。

これらにはみな但し書きがついていたり、店主から言葉かけがあったりするけれど、夢中で気がつかない。願いがかなえられると図にのってしまって墓穴をほってしまうことも。

幸運に恵まれるか否かは本人しだい。

もう一度と思ってその店を探しても二度とみつからない。

他に「ミュージックスナック」や「しっぺがえしめんこ」など6編からなっている。シリーズになっていて10巻以上。

「子どもさんから大人の人まで読んでいますよ」と図書館の時久さんがすすめてくれました。楽しく読めます。

川村房子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

西野内小代

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

「アグルーカの行方」 角幡唯介 集英社

第35回講談社ノンフィクション賞を受賞。

「空白の5マイル」「雪男は向こうからやって来た」「極夜行」「アグルーカの行方」。この4冊でノンフィクション部門での賞をほぼ全て手にしているそうです。

1845年にジョン・フランクリン率いる探検隊129人全員が北極圏で死亡した。同じ風景を体験しようと計画された彼らと同じルートを辿る60日間の旅の記録です。

今回の探検も壮絶極まりないエピソード満載です。

「アグルーカ」とはイヌイットの言葉で「大股で歩く男」を意味するそうです。

元ジャーナリストらしい丹念な事前調査、資料の収集そして探検家としての豊富な知識に裏打ちされた作品です。

西野内小代

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

古川佳代子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「どろぼうの神さま」 コルネーリア・フンケ著 細井直子訳 WAVE出版

カナダのプリンスエドワード島、アイルランドのパブ、イギリスのパディントン駅…。訪ねてみたい場所は色々あるのですが、イタリアの水の都ベネツィアもそんな場所の一つです。

「どろぼうの神さま」というタイトルに惹かれて本棚から抜き出すと、目に飛びこんできたのは、水色の空を背景に黒い不思議な形の仮面をかぶった少年の姿。足の下には石造りのライオン…。「あ、ベネツィアだ~」。本の分厚さに少したじろぎながらも、読んでみることにしました。

それぞれに理由を抱え、家を飛び出し、廃墟となった映画館でくらしている子どもたち。彼らを統率し生活を支えているのは、どろぼうの神さまと名乗る謎の少年スキピオ。子どもの楽園のような心躍る冒険の毎日が、リアルな街の風景描写によって現実感をともなってぐいぐいと迫ってきます。そして最後に用意されたアッと驚く仕掛けに茫然。

気がつけば500ページ近くある作品を一気に読んでしまっていました。

古川佳代子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

川村房子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「木のみかた   街を歩こう、森へ行こう」 三浦豊(森の案内人) ミシマ社

亡くなった夫は木を育てるのが大好きだった。ふくれっつらをする私を気にすることもなく、一本千円もする杉の苗木を買うこと等、いといもしなかった。

この本はたまたま図書館でみつけた。

森は木がたくさん生えている場所のことで、山は大きく隆起している地形のことを指すという。

華のある木は桐、共感できる木は山桑だという。子どもの頃、近所の畑そばにあって食べた記憶のあるあの桑の木らしい。

原始の森の王は京都下鴨神社の椋の木。二億年前からいるのは銀杏の木等など。

私の思っていた木の本とは違ったけれど、ちょっと見方がかわりました。

ちなみに、案内人がすすめる四国の森は、エメラルド色の川が流れる石鎚山の麓面河渓(愛媛県久万高原町)とまるで巨大な神殿巨木杉の魚梁瀬千本山(高知県馬路村)だそうです。又行く機会があったら違った見方ができそうです。

川村房子

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

西野内小代

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「座右の書『貞観政要』」 出口治明 角川新書

副題にあるように中国の古典「貞観政要」について分かり易く解説してくれているリーダー論です。

未来は分からないのだから過去から学ぶしかなく、よい古典に接する事、歴史を学ぶ事の重要性が説かれています。リーダーのみならず、一般的な人間関係にもとても参考になるかと思います。

観察力・知識力・経験力が判断力を養う。積極的な生き方が勧められています。

西野内小代

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

鳥山百合子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「死んだかいぞく」 下田昌克 ポプラ社

2020年2月に下田さんが土佐町に来てくれた時、出版されたばかりの「死んだかいぞく」にサインをしてくれました!

目の前で描かれるクジラや魚たち。下田さんの世界です。

「死んだかいぞく」を初めて広げた時に何より驚いたのは美しい海の色でした。酔っ払って刺された海ぞくが深く沈んでいくにつれ、海は緑がかった青からあい色、むらさき、黒色へ…。

実は一年前、2019年の1月にも下田さんが土佐町に来てくれた時に「今、この絵本を作っているんだ」とスケッチを見せてくださったのですが、それがこの「死んだかいぞく」のスケッチでした。鉛筆で描かれていた白黒のスケッチが、一年後の今、鮮やかな一冊の本となって目の前に現れました。

下田さんが描き、色を重ねた海や魚たちが、下田さんがこの絵本と向き合った軌跡を伝えてくれているようで、絵本を広げてはただただ見入ってしまいます。

鳥山百合子

 

*今年2月に下田さんが来てくださった時の様子はこちら!

下田昌克さんが土佐町にやって来た!2020年(1・2日目)

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone