「すずめさんおはよう」 いまきみち作 福音館書店
土佐町ではウグイスの声が聞こえるようになりました。
うっすら桃色がかった桜の枝や、道々に揺れる菜の花が、山に春が来たことを教えてくれます。朝晩はまだ冷え込んでストーブをつけますが、緑や黄色、オレンジ、ピンク…。春の色が日々添えられていく風景は、道ゆく足取りを軽やかにしてくれます。
2月のある日、大きな封筒が届きました。差出人は、絵本作家のいまきみちさん。同じく絵本作家の西村繁男さんとご夫婦で、以前土佐町に来てくださいました。
いまきさんが「新しい絵本ができました」と送ってくださったのです。
春になると、すずめやウグイス、ひよどり、色々な鳥の鳴き声が聞こえてきます。畑を耕した次の日の朝、何やら畑の方が騒がしいと窓から覗くと、お腹に茶色と白の模様のあるむっくりした鳥や何羽ものシジュウカラが耕したばかりの畝を行ったり来たり。きっと土の中から出てきた虫たちを捕まえにきたのでしょう。へっぴり腰で畑を耕す私の姿をどこかで見ていたのか?鳥たちの感性に驚かされます。
いまきさんが住む土地も鳥が羽ばたき、花のみつを吸い、また眠りにつく。人といきものが共に生きる場所なのでしょう。いまきさんの優しいまなざしを感じる一冊です。