私の一冊

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

田岡三代

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「心」 稲盛和夫 サンマーク出版

先日、青木幹勇記念館の雑学講座で、講師の鏡峯寺住職・吉永先生が、人生は「思い込み」が作っていくというお話をされていましたが、この一代で大企業を創り上げた稲盛和夫さんも、同じことを書いています。

「人生で起こってくるあらゆる出来事は、自らの心が引き寄せたものです。それらはまるで映写機がスクリーンに映像を映し出すように、心が描いたものを忠実に再現しています。」
「すべては心に始まり、心に終わる。」
〜本文より〜

時々、こういった本を開いて、自分を見つめなおすのもいいかな…と思っています。

田岡三代

 

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私の一冊

藤田純子

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「宮尾登美子の世界」 朝日新聞社編 朝日新聞社

宮尾登美子さんの本を夢中で読んだ時期がありました。彼女の自叙伝である「櫂」「春燈」「朱夏」「仁淀川」は特に印象が強くて心に残っている。

読み出すと次へ次へと気持ちがはやって止まらない。最近また読み返してみましたが、ほとんど記憶によく残っていてびっくりしました。

この本には彼女の人生の中で最もハードな部分であろう、生死の境を生き抜いた満州を半世紀ぶりに訪ねた時の彼女の心境や写真も載せられていて、私の知りたかった事もたくさん解決して、とても興味深かった。

この本は宮尾登美子さんにどっぷり浸かれる素晴らしい本だと思います。

藤田純子

 

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私の一冊

川村房子

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「深夜食堂」  安倍夜郎  小学館

 

作者は高知新聞でも度々掲載されている四万十市出身の漫画家です。

繁華街の路地裏に、ひっそりと佇む「めしや」を舞台に、店を訪れる訳ありの客たちのドラマを描く。

テレビでは小林薫さん主演でドラマ化されており、韓国版、台湾版でのドラマ化中国では映画化も決まっているという。フランス語版漫画もあるというからすごい。

人生あまり上手くいってない登場人物が、それなりにやっている感じがいやされるからだという。

レシピの説明書きもうれしい。
・玉ねぎを少しきざんで、ツナに塩とブラックペッパーをふってマヨネーズで和え、クラッカーにのせてハバネロを少々。
おつまみにいいかも…。

・軽く塩コショウして小麦粉をまぶした鮭をフライパンでやく。バターを溶かして最後に醤油を「じゅっ」。
鮭のバター焼き。鮭を買ってこようと思った。

川村房子

 

 

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私の一冊

矢野ゆかり

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「物語ること、生きること」 上橋菜穂子 講談社

師走真っ只中。私は、家族3人でクリスマスイブのケーキを食べています。

叔母のつてで、昔からイブのイブからケーキがありました。小さい頃はたまらなく嬉しく、プレゼントの気配にもつられて、楽しみに、きそきそしていたものでした。

今となっては、クリスマス前の苦行のひとつです。イブのイブからケーキがあるものですから、本番で歌う讃美歌「聖しこの夜」まで2曲ほど工面しなくてはなりません。

大体毎年、父と私でクリスマス・キャロル矢野家アレンジが即興で歌われます。今日は「ジングルベル、フフフハミングversion」でした。あと、その蝋燭の消しかたといったら!。今日は咳風邪で右肋軟骨(前回は左)を損傷し、鼻水ずるずるの母をからかってやろうと、吉本の芸人よろしく鼻息で蝋燭を消そうと父と企んでいました。

「絶対どつかれるね!笑」と言いあったのに、母はノリよく鼻息で蝋燭を消そうとしてくれたのでした。(名誉のために弁明しますが、本当に鼻水飛ばして鼻息で消したわけではありませんので、悪しからず!)

さて、前座はこの辺で。

私の書く一冊はどれも胃もたれすると思われるのもしゃくなので()、今回は「守り人シリーズ」の著者である上橋菜穂子氏のエッセイ『物語ること、生きること』、構成・文は瀧晴巳氏です。

彼女は冒頭で自分がどのように物語を描くか触れています。 物語を書いているときは、馬車を走らせているような気がすることがあります。私の周りに、たくさんの荒馬がいて、懸命にたずなを操って走らせているような気がするのです。~中略~それが、あるとき、まるで違うメロディが合わさって、ひとつの合唱になるみたいに、ものすごいスピードで一勢に走りだします。その瞬間、「ああ、書ける……」と、思う。 

彼女からすると、物語は生まれるもの、不意に降ってくるもの、急に見える風景なのかもしれません。

そして、「どうすれば作家になれるか?」という作家であれば一番多く聞かれるであろう質問に、彼女なりに答えてくれます。ただ彼女が とても一言では言えそうにないんですよ。 と述べている通り、このエッセイまるまる一冊かけて、答えてくれる訳ですが。

『第一章 生きとし生けるものたちと』の「おばあちゃんとわたし」の中に、昔話の話がでてきます。昔話と言えば私の場合、父が話してくれたことを覚えています。

「昔むかーしあるところに」というお決まりのフレーズで始まりますが、大抵父が語る桃太郎は桃の時点でおばあさんに真っ二つ!かぐや姫は竹の時点で、お爺さんが鉈で一刀両断してしまいます。

大胆なアレンジから始まる昔話は、声音も表情も芸人コロッケもかくやと言うほどで、今夜のように底冷えするに日も楽しく眠ることができました。

そういえば、上橋氏のおばあさんは怖い話が十八番と述べられていましたが、私も小さい頃震え上がった怖い話があります。「耳なし芳一」です。

夏の夜に、妙に上手な琵琶の音真似で語られる芳一と平家の落ち人の話は、土佐のとめ言葉「昔まっこう猿まっこう」で終えられても、なかなか寝付けませんでした。

そもそも矢野家は、早明浦ダムが出来るまで平家の落ち人伝説の残る大川村にいたのです。なんだか他人事ではない気がして、夏布団から体を出さないようにして扇風機の音を聞いていたように思います。

実はこの話には後日談があります。それも十数年後のことです。大学4年生の夏、小学生の剣道強化合宿の手伝いをしていたときのことでした。

大学生には夜の重大任務が課せられました。自分の担当する部屋のガキンチョもとい、悪ことしな児童を定刻の時間に寝かしつけること(静かにさせて、別の部屋等へいかないように見張る)でした。なんというmission inpossible!!無茶ぶりにもほどがあるぜ!と感じた私は、ここで一計を案じました。

そう題して、「寝てもらえなくても、恐怖で静かにさせる作戦」。私秘蔵の怪談セレクションを、「まぁむかーしのことなんやけどねぇ」と父譲りの演技力で語って聞かせました。

もちろん〆は、耳なし芳一から平家蟹のメドレーで「昔まっこう猿まっこう。お仕舞いおしまい」。私の部屋の担当は、わりと、おませな女の子ばかりだったので 昔話は効かないかも…” と思っていたものの、効果はてきめんでした。もはや泣き出す子もいる始末。

お陰で「はやく寝ようよぉ」とみんなすぐに寝てくれました。その後、一つしたの階を見回ったとき、どうやら担当の大学生が誰よりも早く寝たらしく、夜更かしを楽しんでいた悪ことし二人組を震え上がらせ、私の作戦はみごと成功したのでした。

さてさて話は変わりますが、この本を読んでいると思い出します。 私も小説家になりたい、と一瞬でも思った事があったなぁ と。

でも私は、次から次に見つける面白い本を読むのが楽しく ちまちま書くのは性に合わんにゃあ~ と思い、小説を書いてみたいと思ったことさえ忘れていました。

しかし、今『私の一冊』というところで、何やらかんやら書かしてもらっているのは、奇遇なことだなぁと思います。 あの物語は本当にすごいよ と少しでも伝えたくて、ちまちま書いています。それに誰かが伝えてくれた物語は、伝え得ずにはいられません。私は上橋氏のようにハイ・ファンタジーを描くことはできないけれど、物語ることはできる、受け継ぐことはできる。そう思えたのがこの本でした。

そして、小説家になりたい人、文を書くのが苦手な人はこの本を読むと、気が楽になるかも知れませんね。

尻切れトンボですけれど、それではまた。

 

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私の一冊

西野内小代

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「フォッサマグナ」 藤岡換太郎 講談社

日本列島を東西に真っ二つにしている大地溝帯の名称「フォッサマグナ」について、その手強さから「怪物」と呼び、謎解きに挑んだ作品です。

地震の度に「~プレート」がどうたら「南海トラフ」が危ない、などと詳しく解説・報道されていますが、ああいう説明・考察が延々と書かれています。

一般向け(多分)に平易に記された本です。

地質学に興味のある方にはおすすめです。

西野内小代

 

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私の一冊

石川拓也

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「ミニミニマップ 世界」 監修・野村正七 昭文社

以前、ミシュランの東アフリカ地図を紹介したことがありました。

今回の「世界」は、その当時の同じ旅に、日本出発時からずっと肌身離さず持っていたものです。

ポケットに入る大きさなので、途中で重く感じることもなく、僕と共に世界を周り、今では自宅の本棚に収まっています。

世界地図なので当然ですが、町歩きなどで役立つものではなく、世界の位置関係を大掴みに理解するためのもの。

例えばインド滞在中に、この後はパキスタン方面か東アフリカ方面どっちに行こうかな?なんて考えてる最中にパラパラとめくってみたり。

例えば西アフリカを南下中に、どこまで行ったら引き返そう?モーリタニア?セネガル?とか考えながら眺めていたり、そんな見方をしていました。*実際にはガンビアまで南下した後Uターンしてモロッコまで戻りました。

現実では身体で地球の大きさを実感しながら、頭でそれが世界全体のどの位置なのかを理解する、そのためにずっと僕のボロボロの服装のポケットの中に入って一緒に旅をした地図です。

 

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私の一冊

田岡三代

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「騙し絵の牙」 塩田武士 KADOKAWA

 

俳優「大泉洋」が大好きです。その「大泉洋」が写真モデルとなり、本の表紙にありましたので、読んでみようと思い立ちました。

出版業界で働く主人公が、業界の中で翻弄され失脚。しかし、最後に驚きのどんでん返し。というもので、こんな作品が小気味いい。…が…。

まるで「大泉洋」が演じているかのような錯覚の中で読みました。

田岡三代

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私の一冊

鳥山百合子

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「たべたのだあれ」 五味太郎 文化出版局

この本との付き合いはかれこれ約20年ほどになりますが(!!)、子どもたちが喜んでページをめくっていた姿をまるで昨日のことのように思い出します。

以前幼稚園で働いていた時に、本屋さんに行ってふと手に取ったこの本。子どもたちに読んであげたいなあと購入しました。

子どもたちがこの本をどんなに好きだったか、ページのしわくちゃ具合や幾つものテープのつぎはぎを見ていただけたらわかると思います。

「めだまやきたべたのだあれ」(2枚目の写真の通り!)
「ぶどうたべたのだあれ」(目がむらさき色のぶどうになっているネコ)
「ドーナツたべたのだあれ」(尾っぽが丸いドーナツになっている魚)

見たらすぐにわかってしまうのがうれしくて「これ!」と子どもたちは満面の笑みで指差していました。20年以上前のことなんて信じられないくらい、子どもたちの笑顔は鮮明です。

幼稚園の子どもたちが思う存分味わった後は、私の子どもたちがこの本を繰り返し開きました。同じように「これ!」と得意そうに教えてくれる顔が幼稚園の子どもたちの顔と重なって、たまらなく懐かしい気持ちになりました。

幼稚園で一緒に過ごした子どもたちは今、20代の若者になっています。この本を開いたら、どんな気持ちになるのかな?

鳥山百合子

 

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私の一冊

古川佳代子

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 「雪の写真家 ベントレー」 ジャクリーン・ブリッグズ・マーティン文, メアリー・アゼアリアン絵 BL出版

子どもと子どもの本に関わる仕事を20年ほど続けてきました。子どもたちに本を手渡す仕事は、世の仕事の中でも1位、2位を争う素敵な仕事ではないかしら?と思っています。 子どもたちに本を手渡す度に幸せを感じるのですが、それと同じくらい心が弾むのは、子どもの本に関わっていなければ、知らずに終わったであろう本に出会ったときです。この絵本もそんな一冊です。

今年の3月まで勤めていた高知こどもの図書館は1999年12月に開館した、日本で最初のNPO法人が設立し運営する図書館です。この「雪の写真家ベントレー」が発行されたのも同じ年の12月。

開館してしばらくしてから図書館の蔵書に加わった絵本です。伝記絵本として、美しい冬の絵本として、大人にもお勧めの絵本として….。様々は視点から紹介したことでした。

150年ほど前のアメリカの豪雪地帯の農夫の家に生まれ、50年に亘りひたむきに雪の写真を撮り続けたベントレー。学校には2、3年しか通うことができず独学で雪の研究をし、結晶の写真を撮っていた彼は、いつしか世界中のだれもが認める「雪の専門家」となっていました。けれども裕福とは言い難い農家でしたから、苦労は多かったようです。

ベントレーが雪の結晶を写せる顕微鏡付きカメラを手に入れたのは17歳の時でした。「雪なんかに夢中になって、ウィリーには困ったものだ」とこぼしていた父さんが、10頭の乳牛よりも値段の高い立派なカメラを買ってくれたのです。変わり者のベントレーを家族がどんなに愛していたかが伝わってくるこのシーンは、何度読んでもグッと胸に迫ってきます。

生前ベントレーは「酪農家からは一杯のミルクを。私の写真からも同じくらい大事なものを受け取ってもらえるだろうと、私は信じている」と語っています。 美しく温もりのある版画で綴られたこの絵本からも、一杯のミルクと同じくらい大事なものが伝わってきます。

古川佳代子

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私の一冊

藤田純子

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「暖炉の火のそばで」 リチャード・W.ブラウン 著, トーバ・マーティン 著 KADOKAWA

今年は暖冬らしいけど、なかなか寒い。

冬になると、この「暖炉の火のそばで」を眺めている。

またターシャに励まされる。ターシャは季節が変わっても暮らしの基本は変わらない。

必要なものは手作りし、楽しみ、時間を過ごしている。

いいなあ、すごいなあ。よし!私もがんばる!と心に栄養をもらっている。

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