2021年11月

笹のいえ

薪ストーブ稼働

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記録を見ると、去年は10月半ばには点けていたうちの薪ストーブ。

今年はこの時期になっても火をいれられなかった。

屋外の煙突を断熱する作業がなかなか完成しなかったからだ。

煙突を二重にして間に断熱材を詰めると、排気が冷えにくくなり、薪の燃焼率が上がり効率良く燃えるようになる。

ストーブだけでなく、五右衛門風呂やかまどで薪を使う我が家で、薪はいくらあっても重宝する。周りを木々に囲まれている土地柄、薪となる木は比較的入手しやすい。が、使う量が少なくて同じ効果が得られれば必要な労力や時間を軽減でき、より長い期間薪人生を満喫できるはずだ。冬の間毎日稼働する薪ストーブの改良で、僕たちの暮らしはより快適になる。

ネットで検索して、ざっとした設計図を描き、使える部材があるか倉庫をウロウロし、友人に不要な材料がないか聞いて回り、無いものは購入する。少し作っては微調整し、インターネットで先輩の知恵をお借りし、また作業を進めて、、、とやっていたら完成が大幅に遅れ、いよいよ朝の冷え込みが強くなってきた。

朝起きてくる子どもたちに「父ちゃん、ストーブ、まだ?」と言われるたび、聞こえないフリをしていたが、それもそろそろ限界と言う11月上旬。なんとか設置にこぎつけた。煙突直径と燃焼の関係やより簡易な掃除メンテナンス方法など、すでに次回への改善点も見えているが、今回は時間切れ。これで運用してみよう。

試し運転をして問題がないことを確認。その翌日早朝、ストーブに薪を焚べた。

木が燃える良い匂いとパチパチと爆ぜる音で、僕の気持ちと身体がやっと冬仕様になった気がする。

僕の次に起きた長女が「あ、ストーブ点いてる!あったか〜い」とストーブに、身をピタリを寄せてきた。ひとりまたひとりと布団から出てくる家族がストーブの周りに集まる。薪の熱で温まった朝食を食べ、おしゃべりをして、それぞれ今日一日の支度をする。

いつもの冬の朝風景だ。

 

写真:朝四時過ぎ。前の晩に仕込んだパン生地を成形し、温まりはじめたストーブの近くに置いて、二次発酵を促す奥さん。今朝は美味しいパンが食べられそうだ。

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私の一冊

山門由佳

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「わにわにのおでかけ」 小風さち文, 山口マオ絵 福音館書店

  ことしの夏もまたお祭りなく過ぎ去ってしまった…。仕方のないことかもしれないけれど、こどもたちにとっては大人が想像するよりもはるかに寂しい夏だったとおもう。 なにかをやり残したような、夏。 大人の私は、そのお祭りにテンションがアガってるわが子を眺めるたのしみも奪われたという事実を今こうして書いていて気づいてしまった、秋。 嗚呼、ほんとに残念〜んんん 。

そんな残念な気分をすこしでも慰めてくれる「わにわにのおでかけ」。 蚊取り線香して、布団にはいって…さぁ寝よう、、として眠れないわにわに。

ずり ずり づづづ と歩を進めるわにわに。 夜店に集まる人びとのにぎやかさ、おめんを欲しがるわにわに、怪しい目つきで金魚すくいをするわにわに、花火の大きさ鮮やかさに歓喜するわにわに。。。 帰ってきたら小さくなってた蚊取り線香が、わにわにのおでかけの満足感を静かに物語る。 どのシーンを切り取っても、夏が溢れてる。

 

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「地域再生大賞」は、北海道から沖縄まで全国の地方新聞46紙と共同通信社が、地元に活気をもたらし、全国のモデルとなる活動や団体を年に一度表彰している賞です。

第12回目を迎える今年は、「とさちょうものがたり」が高知新聞の推薦を受け、高知県の代表となりました。

 

↓「地域再生大賞」のフェイスブックより

とさちょうものがたりの取り組みは、① ウェブサイト「とさちょうものがたり」での情報発信、②「シルクスクリーン事業」やカレンダー制作といった障がい者支援や、③「土佐町ベンチプロジェクト」や「とさちょうものがたりzine」などのものづくり、④ 講演会や展覧会などのイベント開催など、種類は多いものの、その全てが根底で繋がっています。

 

その根底を理解した上で、今までの取り組みを丁寧に見ていてくださった高知新聞社の方々に心から感謝しています。

このことが高知新聞に掲載されてから、たくさんの土佐町の方たちに「よかったね!」と声をかけていただきました。
喜んでくださっている人がいることが何よりうれしいです。土佐町や嶺北の方々と一緒に作り上げてきたものが評価されてのことだと考えています。皆さま、いつもありがとうございます!
結果発表は来年1月末とのこと。
それまで楽しみな時間が続きそうです。

 

 

これまでの受賞団体を紹介した「まちづくりチャレンジ550」も公開されています。興味のある方はぜひ!

 

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2021年10月30日、とさちょうものがたりは、日曜市に出店しました。

300年以上の歴史を持ち、高知の生活市として多くの人に愛され続けている日曜市。買ったネギや大根の葉をカゴからのぞかせて自転車を走らせている人、今が旬の新高梨を25個も買っている人、子ども3人を連れているお父さん、久しぶりに会ったというお母さんと娘さん。色々な年代の色々な人たちが行き交っていました。

 

しょうがや直七、リュウキュウなど高知ならではの食材もたくさん。お母さんが作ったぬか漬けやキムチ、梅干しも。花や玉ねぎの苗も。畑から収穫されたばかりのみずみずしい野菜たち。お店に来てくださったお客さまが「日曜市は皿鉢だから」と話してくれましたが、納得です。買う人と売る人が集う場所。ここはみんなの台所、みんなの市なのです。

 

高知市出身の絵本作家、西村繁男さんが描いた絵本「にちよういち」を読んでから憧れ続けてきた日曜市。初めて高知を訪れて一番先に足を運んだ日曜市。そんな日曜市に出店者として参加させていただいて感無量でした。

 

とさちょうものがたりは、「鹿の角ガチャ」「とさちょうものがたりZINE」「とさちょうオリジナルTシャツ」を販売しました。

鹿の角ガチャは大人気!子どもから大人まで、たくさんの人たちがガチャガチャ回してくれました!

 

兄弟で回してくれました!

写真奥の男性は、日曜市に出店されているお花屋さん。鹿の角の先の部分がほしい、と2回も回してくれました。帰り際、カーネーションをくださいました。

 

お父さんと3人兄妹。一番下の妹さんが百円玉を一枚ずつ入れるのをお兄ちゃんとお姉ちゃんがサポート。3人のお子さんを見守るお父さんの優しいまなざしが素敵でした。3人お揃いの御守り!楽しいことがいっぱいありますように!

 

日曜市には、高知県内の市町村が輪番で出店できる「れんけいこうち」という取り組みがあり、今回はその一環で出店させていただきました。

 

お隣で出店されていた梨屋さんのお母さんが新高梨をくださいました。こちらもお礼に「とさちょうものがたりZINE」を。こんなやり取りができることも出店の魅力です。またお会いできたら嬉しいです!

次回は11月14日(日)に出店します。ぜひ遊びにきてくださいね!

 

 

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私の一冊

古川佳代子

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「すごいね!みんなの通学路」 ローズマリー・マカーニー文 西田佳子写真 西村書店

令和二年度SDGs未来都市に土佐町は選定されました。全国で33団体、高知県では初の選定です。この取り組みを通して子どもたちには、土佐町や高知県に終わらず広い世界へも興味を持ってもらえたらと願います。それは大人だって同じこと。世界への扉を開いてくれる本をどんどん読んでほしいものです。とはいえ、本を読むまとまった時間を取るのは難しいもの。そんな時、お勧めなのがノンフィクション絵本です。

通学手段と聞いて思い浮かぶのは徒歩や自転車、スクールバスあるいは自家用車などですよね。けれども毎日が冒険!というような手段で学校に通っている子どもたちも大勢います。手漕ぎのボートで通うカンボジアの女の子たち。絶壁の細い山道を歩いて通う中国の子どもたち。山に住むフィリピンの子どもはワイヤーを2本わたしただけの橋(?)をつたって通う子どもの姿にはビックリ!これは絶対私には無理だな~。身近な通学路でもなんて違いがあるでしょう。

同じ空の下、同じ時間を生きていても生活環境、日々の暮らし方は千差万別。世界って広いな~としみじみ感じ入ったことでした。

 

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とさちょうものづくり

土佐町の看板を考える

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住民課の相談

 

ある日、とさちょうものがたり編集部に土佐町役場住民課からひとつの相談がありました。「森の町営住宅地に車が通り抜けをするので、『車通り抜け禁止』の看板を作れないだろうか?」といったものでした。

実は編集部、「町の看板」(特に役場が出す看板)のことについて数年前から少し思っていたこともあり、住民課とともにひとつの試みをすることにしました。

今回の記事は、その試みの内容と意図についてのお話です。

 

土佐町の看板を考える

まず単純な疑問として。

こんなに木材の豊富な町だからこそ、木材で看板を作れないか?

町役場が作る看板は、今回の「車通り抜け禁止」に限らず、意外といろいろな場面で必要とされています。詳しく調べたわけではないですが、おそらくその大半が金属またはコンクリートによるもの。

その理由としては、まず第一に「耐用年数が長い」ことがあると思います。また「耐用年数が長い(壊れない)」ということは、「安全性が高い」ということでもあるかと思います。

では、木材は「耐用年数が短い」のか? 一度考えてみましょうか?

ということで、せっかく編集部に来た相談、とさちょうものがたり流の回答を導き出してみました。

 

 

木材 x シルクスクリーン = 地元の仕事

 

まず前提として、「町の住民が作る」「町の材を使う」「町の技を使う」。

ひと言でいえば「町で作ろうよ」ということなのですが、具体的にどうするか?

まず材はもちろん土佐町産の木材。できるだけ丈夫で耐用年数の高いもの。加工するのは町の大工さん。

そして印刷はシルクスクリーンで、どんぐりのメンバーさんが。普段からTシャツ作りに励む彼らが印刷工程を担当します。

最後の設置。これはまた大工さんの手に戻って、プロの手で頑丈に設置してもらいます。

おお!全工程が町の住民の手によって、看板ができるじゃないですか!

 

木材は作り直せる

ではそもそも金属の看板を作る大きな理由である「耐用年数」。これを木材にするとどうなるのか?

短期間でボロボロになって、朽ちた木材が垂れ下がるような結果になってしまうのか?

実際にやってみて実証してみましょう、というのが今回の「とさちょう看板計画」の趣旨なのですが、とさちょうものがたりはそのような結果になるとは予想していません。

その理由は、

① 大工さんなど町の住民の手によって作ることで、目が届きやすくなる。

② 表面が汚れた木材はカンナで削ってまた使える。

です。

特に大工さんは自身が製作したものをずっと気にして、たびたび確認に訪れたりするそうです。近所に散歩する距離に住んでいる大工さんなら尚更ですよね。

②はとても大きなポイントです。表面が汚れてきた時点で、看板そのものを大工さんの元に戻し、カンナをかけてもらう。すると再びピカピカな木材に生まれ変わります。

そしてそのあとは再びどんぐりがシルクスクリーンで印刷、という同様の工程を踏んで、新品同様の看板に作り替えることが可能なのです。

もし今回のこの「車両通行止め」の看板が役割を終え、必要となくなった場合にも、違う場所で違う看板に作り替えることも可能です。

 

というわけで、実際の製作の模様です。

 

今回、まずは地元の大工さんに相談しました。上ノ土居にお住まいの森岡拓実さん。

写真のヒノキの材2枚を2分割し、4枚の看板を作ります。もちろんこの材は土佐町の山で取れたもの。森の良い匂いがします。

この材の厚さは約4cmあります。「古くなったらカンナで表面を削って新しいものに生まれ変わる」ために必要な厚さです。

 

 

切った木材の表面にカンナをかけます。ツルッツルの新しい表面になりました。

 

場面変わって‥

 

ここからはどんぐりのシルクスクリーン・チームの出番です。

普段はTシャツを作っている彼らが、今回は木材に印刷します。

 

印刷準備中。板の上に置いてあるのは透明なシートに印刷した製版用のものです。

 

位置を合わせて‥

Tシャツとはひと味違う印刷風景。場所はとさちょうものがたり編集部の玄関で行いました。

 

一枚できました!

これを4枚作り、保護用にウレタン塗料を繰り返し吹いたあと、設置の工程に進みました。

 

設置する

2021年10月28日、夕暮れ時。準備のできた4枚を携えて、大工の森岡拓実さんと現場へ。

木材の裏面には、設置のために穴を開ける必要がないように、拓実さんが事前に金具をつけてくれています。

なので現場では微調整とボルトを閉める作業です。

 

 

作業中の模様。木材の看板、どうですか?

 

そして4箇所に4枚の看板の設置が完了! みなさんどう思いますか?

あとは経年による変化がどう出るか。これは長期間の目線を持って、丁寧に観察していこうと思います。

林業が盛んな土佐町で、町産の木材を使ってみんなで暮らしを作っていく。そんなことの小さな一歩、のお話でした!

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