「サザエさん」 長谷川町子 姉妹社
先日、愛宕町にあるあたご劇場で「トキワ荘の青春」という映画を観た。久しぶりの大きなスクリーンに興奮しながら繰り広げられる「トキワ荘の青春」は、手塚治虫はじめ石ノ森章太郎、赤塚不二夫など、日本の漫画界のそうそうたるメンバーがまだ駆け出しの頃に住んでいたトキワ荘というアパートを舞台に、友情やおなじ夢をもった者同士の葛藤や苦悩、そして助け合いを描いた心にじんわりとくる映画だった。
時は昭和30年代。日本は戦後の復興を遂げ、生活は慎ましくも夢と希望に溢れた元気な時代。「サザエさん」もまた同時代に、日常の人間ドラマや世間の時事を風刺した4コマ漫画が朝日新聞で連載されていた。 今ではすっかり日曜日の顔となっているサザエさんだけれど、この4コマ漫画の「サザエさん」はもっとピリッとしている。あの穏やかなマスオさんもちょっぴり怒りん坊なことにもびっくりする。みんなが熱い。そして人情が深い。
『他人に迷惑をかけないように』じゃなくて、人が人をあてにしてお互いに困ったら助け合うのが普通とした雰囲気。 そこに人と人の強い繋がりを感じた。気軽にSOS、近くのひとに助けを求められるあたたかい環境。 醤油がきれたらご近所さんに貸して〜と言える間柄。
いいね!や画面越しのやりとりばかりの令和3年。人と人が面と向かって心を通わせ、話をすることにいいのかな?どうなのかな?といちいち戸惑い、こんなにも手の届かない贅沢品になってしまったとは。
この「サザエさん」を読んでいると、今の風潮、システムは本当にこのまま進みつづけて人類の幸せはあるのか?と思えてくる。