「生まれかわりのポオ」 森絵都作 カシワイ絵 金の星社
動物を飼っていれば避けることのできないものに、永遠の別れがあります。いつか来ることがわかっていても、それは悲しいことだし、受入れることは簡単ではありません。
ポオは最初はママの猫だった。白に黒のぶち模様があって、背中の真ん中の模様はきれいなハートマークをしてるんだ。ポオを見たとたん“ビビッ”と感じたママはポオを飼うことに決めたんだって。 そして9年前、ぼくが生まれた。ぼくとママとポオ。生まれた時からこれがぼくの家族だった。
でもぼくよりずっと年上だったポオは、おじいちゃんになるのも早かった。うすうす、その日が来ることは、わかっていたけれど、ほんとうにその日が来た時、ぼくはただただとほうもなくさびしくて、考えることは一つきり。「ポオに会いたい」ただそれだけだった…。
あたりまえがあたりまえじゃなくなることの喪失感を埋めてくれるもの。それはたとえば、一つのものがたりかもしれないし、世界に対する新しい視線なのかもしれません。これから先、何度も体験するだろう別れのときに、この本のことを思い出せたら良いなあ。