今シーズンは、暖かい冬のスタートとなった。
寒さが苦手な僕にとって、この気候は身体的にも気持ち的にも楽だけど、田畑をやっていると具合が良くないこともある。
畑の葉物野菜は朝晩の冷え込みによって甘さを増すし、乾いた風が軒先の干柿を美味しくし、雪が降れば子どもたちが喜ぶ。寒くなる時期には、きっちり冷えてもらわないといけないのだ。
麦踏みは、この時期に行う大事な仕事のひとつだ。小麦の芽を踏むことによって、根張りをよくしたり分けつを促したりする効果がある。
霜によって土ととも浮き上がった麦を押し戻すためでもあるが、この記事を書いている12月中旬現在、例年なら毎朝のように降りる霜が、まだ一二回しかない。だから急がなくても良い気がしたのだけど、年末年始は帰省のため作業ができないので、この日麦踏みをすることにした。
肩幅ほどにひらいた小麦の列を、両足を使って、二列ずつ踏んでいく。
ついてきた次男も面白がって真似をしている。彼の短い脚を目一杯広げて、ペンギンのように歩いている。今度は僕が息子の真似をして、ふざけ合った。
途中、パラパラと雨が降ってきた。
濡れた土を踏んでいたら、足袋の裏に土がくっ付く。畑を一周したころには、厚底靴みたいになっていた。