2020年8月

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

古川佳代子

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「プラスチック・フリー生活」 シャンタル・プラモンドン, ジェイ・シンハ著 服部雄一郎訳 NHK出版

海や山、あるいは清流で豊かな自然を愛でているときに足元や水面にあるプラスチックごみを目にして、一気に興醒めした経験はないですか?

プラスチック汚染の問題はわたしたちの身近にあり、健康にも深くかかわっています。けれども、プラスチック製品に囲まれた環境でのなかで、一気に減らすのはなかなか難しいこと。あまり神経質にならず、「できること」をさがして、ゲーム感覚で取り組んでみると意外に楽しく実践できるかも?

気負わずに始められる「プラスチック・フリー生活の実践ガイド」として、家庭に一冊常備するのもおすすめです。

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ほのぼのと

川あそび

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夏休みになると、友達と連れ立って川に行った。

小学校の頃は石橋という所。川を渡るのに大きな岩を橋にしていたので、はらばいになって渡った。雨の降った後などは、岩の間をゴウゴウと水が流れていくのが恐くて、おそるおそる渡ったことを思い出す。

石橋を半分ほど渡った所に石ばかりの中州があり、そこにぞうりやタオルを置いてから川に入った。

ずーっと上の方まで浅瀬になっていて、それから徐々に深くなっていたので、みんなで楽しめた。今のようにプールも無い時代。幼子を連れた大人も何人もいた。

ごりという魚もたくさんいて、竹でくんで作った「ぶったい」というものや、「底びん」という箱型の木枠の底にガラスをはったもので覗きながら、小さな網でしゃくりあげて捕っている大人もいた。孫の水遊びの傍らで楽しんでいたのかもしれない。あの頃、「底びん」がほしかったなー。

川に行くのは、一日一回やったか二回やったか忘れたけど、決められちょった気がする。できるだけ長くおる為に、寒くなったら中州でひなたぼっこをしながら、小さな岩を持ち上げてごりを探したりした。おこぜややつめうなぎもおった気がする。

小学校の1年か2年の時、丁度仕事が休みやという、友達のお父さんが石橋に連れて行ってくれたことがある。川の浅瀬を少しのぼっていくと、淵の方に大きな岩があって、その周りは私の背丈ほどの高さで、そこまでの距離は2メートルもなかったと思う。泳ぎは「犬かき」しかできんかったけれど、岩まで泳いでいって、しがみつきよじ登るのがおもしろかった。

このおもしろさを友達にも教えようと、

「ここまできいやー」

「こわいけいやー」

「だいじょうぶ いけるいける ここでひっぱちゃおけねー」

「ほんとー ほんならいってみる」

と泳いできはじめて途中で、ブクブクブクーと沈んでもがきはじめたので、ワーと思って得意の犬かきで助けようとそばまで行ったら、どこをどう引っ張られたのか一緒にブクブクと沈んでもがいた…。

誰かが両腕に2人をかかえてひっぱりあげてくれた。気がつくと、友達のお父さんやった。ずーっと遠くに座っていたとおもったのに飛んできた。私のお父さんと比べると、小さなおじさんやと思っていたので、とてもビックリした。

いつもは口数の少ないおじさんやったけれど、そのまま家に連れ帰られ大目だま。そのあと、おやつをもらって二人で昼寝をした。

あれから、早明浦ダムができ、地蔵寺川も分水され随分と水量がへった。

過疎化がすすみ町の人口も年々減ってゆく。もう一度、石橋に行ってみたいと思うのに、降り口の階段が草におおわれて行けないのが残念。

毎年夏になるとそう思う。

 

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私の一冊

田岡三代

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「気がつけば、終着駅」 佐藤愛子 中央公論新社

ポンポンと小気味よい言葉が溢れ出る文章が好きで、佐藤愛子の本を読み続けている。エッセイの中に出てくる、遠藤周作との掛け合いが又、面白い。

90歳では、「九十歳、何がめでたい」がベストセラーに。

この「気がつけば、終着駅」は、50年前から今まで、「婦人公論」に執筆したものを集めたものだそう。

現在96歳。初エッセイから、55年。勇気を頂く一冊です。

田岡三代

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