「幕末土佐の12人」 武光誠 PHP文庫
「坂本龍馬」頼みの高知県ですが、亀山社中は長崎、お墓は京都、高知県をはみ出して全国ブランドです。
もっと高知県を知らなければと手に取ったのがこの本です。
解説ばかりではなく、気が付けば「俺は・・・」「わしは・・・」と一人称での語りになっており、まるで大河ドラマの断片のような演出です。
幕末の土佐人の行動力に感銘を受けた一冊でした。
西野内小代
著者名
記事タイトル
掲載開始日
山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。
人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。
土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?
みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!
(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)
「エンゲージド・ブディズム入門 しあわせの開発学」 スラック・シワラック ゆっくり堂
エンゲージド・ブディズム(Engaged Buddhism)は日本語で「社会参画仏教」と訳されています。語感としては「行動する仏教」「闘う仏教」という意味。
「お坊さんは閉じこもって座禅や瞑想ばっかりしないで、社会の問題と真正面から立ち向かうべき」という姿勢を基にしています。
そういえば、とさちょうものがたりオープン直後に土佐町で講演をしていただいたインド仏教の指導者・佐々井秀嶺さんも「行動する仏教」を体現した人のひとり。「思想や知識は行動のためにある」ともはっきり仰ってました。
この本はエンゲージド・ブディズムの指導者スラック・シワラックの視点から、社会がなかなか解決できないでいる様々な問題について、また問題に対する考え方や解決法について語られます。「行動の人」が語る言葉には一種の重さと説得力がありますね。
GNH(国民総幸福度)の話も出てきます。印象的だったのは、「小さいビジネスをしよう」という文章。ビジネスを大きくすること、際限なく成長させることに目標を置くこと自体がそもそも間違っているし不可能なことなのではないか、という考え方。
現在、土佐町役場が準備中のGNH(国民総幸福度)による「土佐町のものさし作り」にもとても参考になる話です。
「すんだことはすんだこと」 ワンダ・ガアグ再話・絵 福音館書店
舞台は昔むかしのボヘミアの農家。赤ちゃんが一人いる夫婦のおはなし。
男と女、どっちが大変なんだ!っておはなし。
この本に出てくるおやじさんは「自分の仕事がずっと大変だ!」といつも思っていた。
「ちっとも楽じゃありませんよ!」と奥さん。
「ちっとも楽じゃないってか!おまえさんのやることといったら、ほんのちょっと家のまわりをのたりくたりぶらつくだけじゃないか」とおやじさん。
それじゃあ、お互いの仕事をとりかえっこしてみようじゃないの、となりました。
さてさて、その結末は…。
「すんだことはすんだこと」って、どっちのセリフでしょう。
藤田純子
「もりのなか」 マリー・ホール・エッツ 福音館書店
「保育園で “はんかちおとし”、したよ」。
5歳の娘がある日、保育園から帰ってきた時に言いました。
あ、確かこの本にも“はんかちおとし”が出てきたはず。そう思って一緒にページを開きました。
「ぼく」が森へ散歩に行くといろんな動物がついてきて、一緒に歩いて、ひと休みして、誰かがピクニックをしたあとのピーナッツやジャムやアイスクリームを食べたり、かくれんぼしたり…。
そして、
「それから、“はんかちおとし”を ひとまわり しました。」
その文章で「一緒やねえ」と嬉しそうに笑った娘の顔を見たとき、絵本の世界と娘の生活がつながった瞬間に立ち合ったような気がして、何だか感慨深いものがありました。
マリー・ホール・エッツの描く線はとても温かい。もう亡くなっているので会うことはできませんが、エッツの残した作品から本人の人柄や大切にしていたことが伝わってくるようです。
作品を残すことは、私はこのように生きた、というひとつの証でもあるのだと思います。
鳥山百合子
「森小学校百十周年記念誌」 編集委員:西野内三春・野村保太郎・志和保三郎・藤田国男・川田勝
卒業生名簿の大正15年度の欄に編集委員の一人である私の義父の名前があります。そして「思い出」の一ページにこの義父の文章があります。
タイトルは「橋床とゲンコツの思い出」です。
私事ですが、この「とさちょうものがたり」の「ほのぼのと」欄に投稿させて頂いた「はしとこ」というタイトルの文章は、この義父の作品への嫁なりのアンサー的な意味合いを兼ねて書かせて頂きました。
昭和4年度には現在100歳の義母の名前、昭和39年度には夫の名前そして昭和41年度には私の名前がそれぞれ記載され、私と嫁ぎ先を繋ぐ記念誌でもあります。
西野内小代