大渕はさめうらダムを見下ろす山に位置する集落です。
長いこと大渕の住民は2世帯でしたが、数ヶ月前からもう一世帯が住み始め、3世帯になっています。
その新たな家族の子供たちが、この写真に写っている3姉弟。細見芽生ちゃん、果生ちゃん、根生くんの3人です。
撮影場所は大渕のご自宅のすぐ近く。毎日この風景を見て暮らすということが、なんとも豊かに感じられますね。
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図らずもTPP。あっちのTPPではありません。
土佐町在住の写真家、石川拓也がひと月に1枚のポストカードを作るプロジェクト。
2016年11月から始まり、たまに遅れたりもしながら、いちおう、今のところ、毎月1枚発表しています。
各ポストカードは土佐町役場の玄関と道の駅さめうらにて無料で配布しています。
9月。空と風が突如として秋モードになる日がありますね。
夏のジリジリと焼けるような暑さから、ふっと肩の力が抜けるような日。
そんなある日に、溜井のとある田んぼにお邪魔して撮影しました。折しも稲は色づきはじめ刈り入れ時を迎えつつあるタイミング。
この時期の田んぼは日本人のDNAをくすぐるような何かがありますね。
相川の棚田の写真を撮影した際にも感じたことですが、この風景を作り出しているのは地元の農家さんたち。
「風景を作る」ことを目的として稲作をしている方はあまりいないと思いますが、毎年お米を作ることが結果的にこの風景を作ることにもなっている。頭が下がる思いです。
貫禄の片鱗が見える後ろ姿は川村光太郎くんです。
地図上で土佐町を見て左上の位置に稲叢ダムがあります。
町中心部から向かった時に、黒丸とアメガエリの滝を通り越し、稲叢ダムの手前にあるのが「一の谷」。
地元の方に聞くとここは昔、石切り場でありました。
削り出された石や岩は、ロックフィルダムという石を積み上げて作る工法で建てられた稲叢ダムの建材になったそうです。
ダムの工事が終わった後、一の谷に少しずつ桜の木を植え始めた人がいました。谷種子さんというその方は、毎年休むことなく桜を植え続け、今年で24年が経つそうです。
標高が高いので、町中心部とは3週間ほどの時期の差があります。この写真を撮影したのは4月25日。
「植える人」がいてくれたから、一の谷はこの時期にも桜が楽しめる場所になっています。谷種子さんのお話は、また改めて記事にしたいと思っています。
ふたつの小さな後ろ姿は、長野恵弦くんと桃也くんの兄弟です。
時は2020年の年末、所は大谷の鏡峰寺。
鏡峰寺では、朝晩6時にこの鐘を鳴らします。鳴らしているのは住職の吉永公明さん。
毎日休むことなく、地区の方々にゴーンゴーンと時をお知らせしています。
とさちょうものがたり編集部も近くにあるのでこの鐘の音は聞こえてきます。鏡峰寺の鐘がなっているのでもう6時、というのはいつの間にかぼくの体に染み込んでいるようです。
土佐町に来て5年足らずのぼくがそうなので、もっと長く住んでいる地区の方々にとってはさらに生活必需的な音になっているのでしょう。
こういう種類の「音」の価値をどう言葉にしたらいいのか、ボキャブラリーの足りなさを痛感しますが、「体に染み込む」音である、ということは間違いないようです。
年末のある晴れた日に、和田雫ちゃんと虎哲くんの姉弟に鐘を突いてもらって撮影しました。