2021年10月

“4,001”

土佐町の現在の人口です。(2017年6月末時点・土佐町公式サイトによる)

注:土佐町の総人口が3,997人(2017年4月末時点)から4,001人(6月末時点)に増加したことに伴い、当プロジェクト名も「4,001プロジェクト」に変更になりました。

“4,001プロジェクト”は土佐町に住む人々を、全員もれなく、写真家の石川拓也が撮影する計画。

念のため書いておくと、「全員もれなく」…あくまで目標です。

土佐町の人口の増減によって、タイトルもたまに変わります。  (敬称略・撮れたときに不定期更新)

4001プロジェクト

森岡忠賢・拓実 (上ノ土居)

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左が、上ノ土居の大工の棟梁、森岡忠賢さん、88歳。そしてそのお隣が孫の拓実さん。

孫の拓実さんは祖父の忠賢さんを師とし、現在では大工さんとして独り立ちしています。

祖父から孫へ、継承される大工の技。忠賢さん曰く、拓実さんが若い頃は敢えてめっぽう厳しく接していたということですが、それもまた師の愛情ということなのでしょう。

そんな関係が少し羨ましくもあります。

 

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読んでほしい

ぶどう

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新聞紙に包まれた四角い包みを受け取った。それは、早明浦ダムを見下ろす眺めのいい土地で新たな生活をスタートさせた友人家族が届けてくれた包みで、カズラのつるで丁寧に蝶々結びがしてあった。

友人は、ぶどうができたので持ってきた、と言った。

友人の住まいには前に住んでいた人が残したぶどう棚があって、もう何年も人の手が入っていなかった。家や畑を少しずつ整えながら草を刈り、ぶどうを狙うスズメバチとも戦いながら、やっと収穫を迎えたぶどうだった。

包みを開けると紫や黄緑、色とりどりのぶどうはみずみずしく、一粒一粒が宝もののように納められている。ぶどうの放つ存在感をしばし味わいながら、友人がこの実りを得るまでにあっただろう苦労や葛藤を思った。でも多分、友人は、持ち合わせていたしなやかさでそれさえも楽しみに変え、道を拓いてきたのだと思う。

笑顔で手を振りながら、友人家族は山に帰っていった。

ぶどうはもったいなくてすぐには食べられなかった。冷蔵庫を開け閉めしては眺め、次の日ようやくいただいたぶどうは、しみじみと甘く、とても美味しかった。

 

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4001プロジェクト

川村長康

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現在は田井にお住まいの川村長康さん。
もともとのお育ちは、今ではさめうらダムに沈んだ柿ノ木集落です。長康さんのご実家は柿ノ木集落の中でも上の方に位置していたため水の下ではなく、写真のようにさめうら湖を下に見下ろすような場所にあります。
長康さんは今でも毎日のようにご実家の手入れをするために柿ノ木を訪れ、長康さんが世話をしたアジサイなどの植物が沿道を通る人の目を楽しませてくれます。

 

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山の手しごと

桂花陳酒を作る

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朝晩に虫の声が聞こえ始める頃、どこからともなく香ってくるのは金木犀の香り。

花を見つけるよりも先に、香りに気づく花です。香りが風にのり、土佐町のあちこちで秋の訪れを教えてくれます。

この金木犀を使ってお酒を作ることができると知りました。その名は「桂花陳酒」。金木犀を白ワインに漬け込んだ香り高いお酒で、中国、唐代の皇妃である楊貴妃が好んだお酒と言われています。

金木犀なら、庭にある!

早速作ってみることにしました。

 

【材料】

・金木犀の花    1カップ (気になるようだったら水でさっと洗って、ペーパータオルで水気を取ってください。ちなみに私は洗いませんでした)
・白ワイン   720ml  (ホワイトリカーでもOK)
・氷砂糖    1カップ  (お好みで調整してください)

 

木のそばに近づくと強い香りがして、顔を木に埋めたくなるほど。私はこの香りが大好きです。家の垣根にしているお家も多いですね。

 

枝を切って、花だけをひとつずつ摘み取っていきます。そっと触れるだけで、花はぽろりと落ちます。この枝からカップ4分の1の花が取れました。まだまだたくさん集めなければ…。1カップ分集めるのは、なかなか大変!

 

 

花についている細い茎は取り除きます

金木犀の量が足りないので、近所の方にお願いして、垣根の金木犀を取らせてもらいました。白い花は、その垣根にあった「銀木犀」。こちらは金木犀よりも少し甘い香りがしました。

 

 

熱湯消毒した瓶に氷砂糖を入れ、白ワインを注ぎます。金木犀はお茶パックなどに入れると、後で取り出しやすいです。

 

 

忘れないように漬け込んだ日付を書いておきます

この写真は漬け込んでから1週間後。金木犀は、足りなかった分を後日足し、大体1カップ分入れています。少し琥珀色になってきたような気が…。

瓶の蓋を開けてみると、金木犀とワインの香りが合わさって、何とも幸せな香りが。蓋を開け、胸の奥に香りを吸い込むのをやめようにもやめれないほど!

金木犀は一ヶ月後くらいに取り除きます。その後、半年ほど熟成させると、さらに美味しくなるそうです。

あ〜!今から半年後が待ち遠しい!どなたか一緒に味わいましょう!

 

 

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とさちょう植物手帖

キバナアキギリ

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キバナアキギリは時期が来るとついつい見に行きたくなる花の一つです。土佐町地蔵寺地区の相生橋から平石地区方面へ向かう道路沿いの木陰に毎年点々と群生します。

 

三角状ほこ形のちょっと変わった葉っぱの上にクリーム色の唇形花(※しんけいか)をのぞかせます。一般的によく知られるサルビアやセージに似ており、それもそのはず、学名Salvia nipponica(サルビア・ニッポニカ)は日本産サルビアの意なのです。

 

周囲の草木にぴたりと溶け込んだそのメルヘンチックな光景が大好きです。可笑しいかもしれませんが、私にはグリム童話のこびとの世界に見えてしまうのです。2002年に魅せられてそれから毎年ずっと通っています。

 

南泉地区には竹の下陰に単独でぽつっと咲く場所があります。それもまた幻想的なものです。珍しい花ではないので、きっと土佐町のあちこちで咲いていることでしょう。

 

※唇形花…筒状で先が上下の二片に分かれる唇のような形をした花のこと。シソ科やゴマノハグサ科の花に多い。

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みんなのアルバム

建設中のさめうらダム

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先日公開した記事「川村長康さんの場合」でさめうらダム建設当時のお話を伺った、川村長康さんからお借りしたアルバムの一枚。

ダムが!途中!作りかけ!

土台が完成したくらいの時期でしょうか。ちなみに早明浦ダムは1966年(昭和42)に着工し、1972年(昭和48)に完成しています。なかなか貴重なタイミングでの一枚と思います。

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私の一冊

山門由佳

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「バカのものさし」 養老孟司 扶桑社文庫

 たまたまつけたテレビに養老先生と老猫との暮らしが映った。 養老先生はおだやかな語り口で鋭いことをズバッとわかりやすく伝えるその姿に一気にファンになってしまった。 それからというもの、著書を土佐町図書館で借りたり、ネットで言葉を拾い集めたり、古本屋を漁ってみたりと。 夫に話すときにも二言目には「養老先生が〜、養老先生が〜(こう言ってた)」とまるで信者である。

この著書は全国の小学生〜高校生が養老先生に疑問に思ったことや悩みを相談し、それにこたえていくようなかたちで綴られている。子どもたちにもちゃんと読めるように漢字にはふりがなが振られ、先生も難しい脳の仕組みや社会の問題について噛み砕いて説明してくださっているのでとてもわかりやすい。

養老先生の持論の中で〈田舎暮らしをしたらいい〉というのがある。(せめて子供が義務教育の間は特に) 田舎暮らしのなかで、思うようにならない自然を相手にする農作業をすることによって【努力・辛抱・根性】がつく。 からだをつかって、薪を割り、火が燃え上がるまでの手順を知ることの大切さ。 なんでもボタンひとつで風呂もお米も炊けて機械がやってくれる世界の脆さを熱く語っていらっしゃる。 うんうん!とすごくうなずける内容で、ふと自分の生活を振り返ってみれば。 田舎に越してきたものの、掃除機で掃除して、ガスで料理して、電気で風呂を沸かしてる…。「はて?これは本当に田舎暮らし?」 反省とちいさな違和感が育ち始めている。。。

 

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