「世界を変える美しい本」 草刈大介,大久保美夏(ブルーシープ), 松岡希代子, 高木佳子(板橋区立美術館) ブルーシープ株式会社
2018年に板橋区立美術館で開催された、インドの出版社・タラブックスの展覧会で買い求めた一冊です。
タラブックスはインド・チェンナイにある出版社で、本の紙を作るところからシルクスクリーンでの印刷、製本までを地元の職人さんたちが手で行い、一冊ずつ手作りで本を作っています。今や世界的に有名な出版社ですが、タラブックスは組織として「小さくあり続けること」を貫いています。
小さくあり続けるのはなぜか?
それはまず、小さくあることで組織全体の状況を把握でき、やりたいことをやりたい時に立ち上げられることを挙げています。また、「売れるから・売れればいい」という仕事の仕方ではなく、ひとつの仕事を前にした時に「これをやりたいのか。これはいいことなのか」で意思決定ができるということ。そして、働いている人の環境と生活を守り、顔の見える人間関係の中で仕事をするためだといいます。その姿勢にとても共感します。
反対に、小さくあることのマイナス点は「ビジネスの点で賢く立ち回れない。他の人たちがやっているようなお金の稼ぎ方がよくわからない」とのこと。そのことも共感します。(もっと勉強したいと思います。)
この本を開くと、インドのアーティストが描いた絵が言語や国境を越え、何かを訴えかけてきます。言葉を使わないコミュニケーションや意思の疎通がそこにはあります。それを感じるのは、人間が共通して持っている何かがあるからなのでしょう。その共通する何かの姿をもっと知りたいと思います。
コロナ禍がおさまったらインドへ行って、タラブックスを訪れたい。その思いを胸に、目の前のことをひとつずつ重ねていきたいと思っています。