渡貫洋介

笹のいえ

落ち葉

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

笹のいえ周辺は雑木が多く、秋から冬にかけて、たくさんの葉が落ちる。

以前なにかの本で「落ち葉は良質の堆肥になる」と読んでから、道に落ちている葉っぱが気になって仕方がない。

これまでは他の作業に追われてなかなか手を出せなかったが、ちょうど友人がお手伝いにやってきたタイミングもあって、本格的に落ち葉集めをした。

側溝に溜まっている落ち葉をスコップで道に上げ、熊手で葉を道の中央に集める。このとき、なるべく石や枝などを取り除く。

雪かき用のスコップで落ち葉をすくい、軽トラの荷台に積んでいく。あおりから溢れそうになったら、上から踏んでさらに載せる。

山からの小石や砂、すくいきれなかった小さな葉は、竹箒で谷側に落としていく。

作業しながら後ろを振り返ると、スッキリと広くなった道が現れ、気持ち良い。適度な運動量で体も温まり、寒い季節にぴったりな作業だ。

500mほどの道で、荷台約5杯分の落ち葉が集まった。

田んぼに撒いたり、畑の通路に敷き詰めたりした。

育った作物にどんな変化があるか、楽しみにしてる。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
笹のいえ

醤油と暮らし

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

うちでは自家製醤油を造っている。

しかし、「自家製」と呼ぶには恥ずかしいほど、たくさんの方たちが関わっているお醤油だ。

醤油麹(こうじ)は、春先に醤油の醸造所から分けてもらう。到着後すぐに水と塩を加えて樽に入れ、月に一二度天地返しをして発酵を促す。そして霜が降りるころ、「搾り師さん」に搾ってもらう。

言葉にすると簡単だが、複雑な発酵技術や製造の管理を素人でも可能にしたこの方法を創りだし、大切に伝えてきた搾り師さんたちに感謝したい。

同じように仕込んでも、気象条件や保管場所などの影響で、毎年異なる醪(もろみ)ができあがる。その状態を理解し、保存性などを考慮して、一番良い状態の醤油が搾れるのは、彼らの豊富な経験と知識のお陰だ。また、次回より美味しい醤油を造るためのアドバイスも受けられる。

大豆と小麦、塩、水が原材料の、本物の醤油だ。

この醤油が美味しい。

外食するときは「マイ醤油」を持参することもある。味噌やお酢と並んで、僕らの暮らしで欠かせない調味料だ。

これまで、搾り師さんを呼んだり、こちらから行ったりして、搾ってもらっていた。暮らしで使う醤油を考えたとき、いつからか「自分で搾りたい」という想いが湧くようになった。

長野に住む知り合いの搾り師さんにお願いして、今年の醪を自分で搾らせてもらうことになった。搾りの現場は何度となく見ているが、最初から最後まで自分でやるのは初めてだった。搾り師さんから手ほどきを受け、周囲の手を借りて、どうにか無事に醤油を搾り終えることができた。

高知に戻ってきて、おりを取り除くために数日間放置し、瓶詰めする。

一年間使う醤油の完成だ。

自分で醪を管理することで、日々の生活で無理なく面倒を見られるし、責任を持つことができる。できた醤油は売りものではなく、あくまでも、暮らしの中で消費される。毎日の食事はもちろん、お返しや物々交換にも喜ばれ、重宝している。

最初に書いた通り、このお醤油にはいろんな人が関わっている。

重い樽の移動や洗い物のときはお手伝いが必要だし、一日に複数の樽を搾るときは他の人の作業を一緒にすることもある。お昼の準備や子どもたちの相手もしながら、一緒に時間を共有する。醤油がつないだ縁が生まれる。

そんな出会いも醤油造りの楽しみのひとつだ。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
笹のいえ

フロントガラス

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

毎朝しっかりと霜が降りる時期になった。

寒いのは苦手だけど、冷え込む日は快晴が多いので、日が昇るのを温まりはじめたストーブの前でじっと待つ。

そんな朝、車に乗るとき、ストーブの上にあるやかんを持っていく。フロントガラスに付いている霜を溶かすためだ。

湯気を出しながらガラスを滑っていくお湯はやがて水となり、さらに流れながら再び凍りはじめる。ガラスには、なんとも不思議な模様が描かれていく。

エンジンを掛け、ヒーターが車内を温めるあいだ、子どもたちとその様子を眺める。寒さを我慢したご褒美みたいだ。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
笹のいえ

米麹

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

外では乾燥した強い北風が吹き、木々を揺らしてる。

こんな寒い日にぴったりの作業は、米麹の仕込み。

かまどで米を蒸しあげれば、部屋も身体も温まり一石二鳥。

テーブルに米を広げると湯気が立ちのぼり、思わず深呼吸する。

人肌くらいに冷ましたら、麹菌を満遍なくふりかける。

しゃもじで丁寧に混ぜ、麹蓋に詰めて、豆炭こたつの中へ。

数時間ごとに温度を確認しながら切り返しをしていくと、こたつから段々米の甘い幸せな香りする。
三日後に米麹のできあがり。

今回のは味噌用だけど、たくさんつくっておいて冷凍保存しておけば、甘酒などを作るときに重宝する。

近所にあるスーパーの棚に麹菌の袋(しかも、醤油用と味噌用の二種類!)を発見したときは驚いた。
麹つくりが身近な土地ならではの品揃えだ。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
笹のいえ

やけど

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

父ちゃんが朝一番に起きて、薪ストーブに火をいれ、台所を温める。

子どもたちが起きると、真っ先にストーブの前に集まって暖をとる。

ちゃっかり者のお姉ちゃんは、お腹に豆炭あんかを忍ばせてる。

母ちゃんはストーブに鍋を並べ、朝ごはんを作りはじめる、、、最近の朝の風景だ。

 

火のある暮らしを家族でしたくって、笹のいえにやってきた。

釜戸 七輪 薪ストーブ 五右衛門風呂 焚き火 豆炭あんかなど

火は毎日の生活に欠かせないアイテム。

扱いには注意しているが、ちょっとした不注意から、おとなも子どもも小さなやけどをする。

怪我は痛いし不快だけど、またひとつ経験値が上がった気がする。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
笹のいえ

大豆の収獲

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

米小麦と同じくらい、我が家で大切な大豆。

数年前に在来の種を分けてもらい、その種を繋いでいる。

今日は収獲の日だ。

車を運転し、まだ朝露の残る畑に出向く。

寒さに震えながら作業をしていると、あるときすっと日が差し込んだ。

その暖かさに、心も身体もほぐれていく。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
笹のいえ

カメムシを考える

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

冷え込みが強くなると、よく見かけるようになるカメムシ。

ご存知の通り、彼らが出す匂いは独特で、嫌いな人も多い。ここらの地域では「クサムシ」と呼ばれる。
うーん、なんと分かりやすい名前だ。

触らないように気をつければ特に害はないのだけれど、どこにでも潜り込む彼ら、気づかないところで触ってしまう。
そうするとどこからかあのパクチー臭が漂い、臭いの元を探し回る羽目になる。

さて、うちでは室内にこの虫を見つけると、ペットボトルにそっと誘導し外にポイっとする。
末っ子はそんな様子を真似してか、カメムシを積極的に捕まえるようになった。

ただ、二歳児がカメムシを直接触らないように室外に出すのは難しい。

そのうち、ああなんということでしょう、素手で捕まえるようになったのだ。
当然、カメムシは例の臭いを発し、彼もまた同じ臭いに包まれる。父母は目を丸くし、姉兄はワーキャーと逃げ回る。
しかし、当の本人は一向に気にしない様子で黙々とこの昆虫を手に乗っけては観察してる。

まだ先入観のない小さな子どもは純粋な好奇心で生き物と向き合い
「臭いからヤダ、嫌い」などというのは大人の先入観なのだなあ。
と感心して末っ子の顔を見ると、両方の穴から鼻水が出ている。
なんということはない、鼻が詰まって、なんのニオイも感じていないだけだった。

しかし、彼のカメムシ遊びのお陰で「カメムシは本当に臭いのか」という疑問が僕の中で生まれた。
「嫌われ者のこの虫だって一生懸命生きているのだ」と考えると、「それほど臭くないんじゃないか」とさえ感じてしまう。
が、しかし、嗅ぎすぎで自分の臭覚が狂ったと思わなくもない。

そういう僕はカメムシの飛ぶ音が苦手。
匂いと同様、羽音も特徴があり、文字にはしにくいけど、「ゔーーーん」という低音が気になってしょうがない。

カメムシが大量発生する年は、寒い冬になったり大雪が降ると聞いたことがある。
今年は厳しい冬になるのだろうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
笹のいえ

くん炭

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

お米を籾摺りすると籾殻(摺り糠)がたくさん出る。

その籾を炭化させて、コンポストトイレに使っている。

くん炭と呼ばれるこの炭は臭いを抑える働きがあるし、微生物の住処にもなり、排泄物の発酵を促す。
畑に入れれば土壌改良材にもなる。

地面に種火を起こし、くん炭器を被せ、その周りに籾殻を積んでいく。

二、三時間くらいかけてじっくり炭にする。

煙が目にしみるけど、くん炭作りは冬の晴天によく似合う。

さて、この作業に興味津々の末っ子くん。

百歩譲って、素足は目を瞑るけど、パンツは履こうね。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
笹のいえ

薪ストーブ

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

11月に入り、朝晩冷え込む日が多くなった。
つまり、今年も薪ストーブの季節がやって来たのだ。

お山の冬は考えていた以上に寒い。

南国土佐という言葉があるように、一般的に「高知=暖かい」という印象が強いのではないだろうか。
確かに、四国の南側で海に面している高知市のような場所は冬でも比較的暖かい。
そこから北に移動するほど標高は上がり「冷やく」なる。霜もよく降りるし、雪もそこそこ降る。
車のタイヤはスタッドレス。

前述のイメージを抱いていた僕は、引っ越し当初、この冷え込みに「騙された」とすら思っていたけれど、
暮らしていくうちに、この季節が好きになっていく。

その理由のひとつが、薪ストーブだ。

木が燃えるときの温かさは、ガスや電気の暖房器具とは異なる。
遠赤外線の効果もあるのだろうが、熱が身体に染み込み、優しい気持ちになる。
ついでに、お湯を沸かしたり、料理もできてしまうのだから、素晴らしい。

うちのストーブは、シネマがデザインしたものを隣町の鉄工所で造ってもらったものだ。

ストーブの上面は、火から近い順に、調理面 保温面 常温面 と分かれ、食べ物の温度によって置く場所を変える。
オーブン付きで、パンも焼けるし、落花生も炒れる。
柿やリンゴ、キウイなどをスライスし余熱でドライフルーツを作ることもある。

木を切るのが面倒なので、長い木も入るよう、奥行きは80cmにした。

良いことづくめのようだが、使ってみると改良点も見えてくる。
長い木は乾きにくいし、火がつきにくい。しかし燃え出すと今度は暑すぎてしまう。
鉄製で温まりやすく冷めやすいため、薪をこじゃんと消費する。高熱によって鉄板が反ってくる等等。

熱の有効利用や煙突の取り回しなどを考えては、毎年試してる。手間だけど、そんな試行錯誤も冬の楽しみだ。

まださほど寒くない10月下旬のある日「ちょっと試しに」とストーブを点けたら、
その快適さの虜になり、結局毎日稼働してる。
来年5月上旬くらいまでせっせと薪をくべる日々になるだろう。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
笹のいえ

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

うちでは薪を使って、煮炊きやお風呂を沸かしている。

土佐町で薪ストーブを使っている家は珍しくないし、薪風呂が現役な家庭も少なくない。
日が落ちる時間になると、集落の所々から煙が上がりはじめ、木が燃える匂いが鼻をかすめる。

周りを山で囲まれた環境で、木自体は比較的手に入りやすい。
「小屋を壊すけ、廃材持っていかん?」「木を切ったき、持って行きや」。
背板と呼ばれる製材の残りも大量にいただくことがある。連絡が来ると軽トラにチェーンソーなどを積んで出掛ける。
処分にお金が掛かったり、邪魔になるものをもらってきてエネルギーとして使う。
お互いに嬉しい関係を築く。

「焚きもの」と呼ばれる薪、使う用途によって大きさや長さを変えている。

五右衛門風呂を沸かしたり、ストーブで使う材は、柱などの廃材を70〜80cmくらいに切ったものを使うことも多い。
釘など金具はついたまま燃やして、灰なったら、磁石にくっつけてまとめて処分する。

毎日三度の食事を作るための薪は、車の燃料と同じくらい暮らしにとって大切で、
ストックを十分に用意しておかなくてはいけない。
風呂は二三日入らなくてもどうってことないが、食事はそうはいかない。

釜戸の火口に入る長さに切り、斧で割って、乾燥させておく。
炒めものや揚げものをするときは短時間で高温になる杉や檜が便利だし、
野菜をコトコトと煮る場合などは太めの枝だと具合が良い。

湿っていたりなど薪の状態が悪いと、調理に時間が掛かってしまう。そのイライラは食事の味や品数にも影響しかねない。
薪管理者(僕のことです)が、料理人(奥さんのことですね)の機嫌を損ねては円満な薪生活に支障が出てしまう。

木はタダで手に入るが、運んだり薪にする手間を考えると、無駄にはできない。
いつも、どうやったら効率的合理的にこの資源を利用できるか考えてる。

薪棚が薪でいっぱいになると心豊かになる。
焚きものが大量に手に入ったり、すぐ使える薪をいただいたりすると、
途端に気持ちが大きくなって「いつもより熱めにお風呂焚いちゃおう」なんて思う。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
18 / 20« 先頭...10...1617181920