2020年10月

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

田岡三代

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「いつも私で生きていく」 草笛光子 小学館文庫

「え~っ?この顔で84歳?」先ず、表紙の写真に驚愕。そして、題名の「いつも私で生きていく」が心に響きました。

まえがきに「人生には、楽しいことだけでなく、悲しみも苦しみもあります。でも、辛いからといって、自分の人生を誰かにかわって生きてもらうわけにはいきません。だから、どんなときも”精一杯”の私で生きてきました。」。と、本の題名へこめた思いを書いています。

きっと、筋の通った生き方をしてきたんだろうなぁ~と、読んでみたくなりました。案の定、その瞬間、その瞬間を妥協なく生きてきた方の言葉は、輝いていました。

 

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「2021カレンダーTOKUBETUHEN」は、高知県嶺北地域の3つの障がい者支援施設と「とさちょうものがたり」編集部が一緒に作ったカレンダーです。

とさちょうものがたりが取り組む「シルクスクリーン」を通してご縁ができた3施設「どんぐり(土佐町)・本山育成会しゃくなげ(本山町)・ファースト(大豊町)」のメンバーさんたちが数字を描きました。

 

今回は、制作風景を少しチラ見せ!大豊町ファーストの制作現場です。

シルクスクリーンでも活躍中の大豊町ファーストの剛くん。

「2021カレンダーTOKUBETUHEN」というタイトルを命名したのは剛くんです。

 

折紙をちょきちょき切って数字に

いろんな種類の数字ができました

 

カレンダーは赤と黒の2色刷りなので、カラフルな数字たちが十分活かせないのは残念なのですが、逆にいうとカラフルなカレンダーって、暦としてはわかりづらくなってしまうんですよね。

そんなことも今回作ってみて初めて学んだことでもありました。

 

さあ、そして肝心の誌面です。現時点でも楽しいカレンダーになっていると思いませんか?

 

 

1月はどんぐりの制作。右下の施設ロゴが赤くなっている施設が制作を担当しています。

左下には制作してくれたメンバーさんたちのお名前が直筆で。©️は彼らととさちょうものがたりの共同保有です。

 

 

2月はファースト。上の写真の数字がこのように活かされています

 

3月は本山町のしゃくなげ

 

現時点で全部はお見せできませんが、この生き生きとした数字が続く1年間のカレンダー、楽しいと思いませんか?

「2021カレンダーTOKUBETUHEN」は11月初旬より発売の予定です。詳細はまた改めて当サイトでお伝えしますので楽しみにしていてくださいね!

 

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私の一冊

浪越美恵

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「すべては脳からはじまる」 茂木健一郎 中央公論新社

この方は、テレビでも良くみかけるし、有名な脳科学者である事は、皆さんご存じだと思います。

心も体もすべて脳が命令していると言われますが、脳を理解する事は、つまり人間を理解する事である。

私達は、歓びも哀しみもすべて脳という劇場を舞台に起こる。私たちが体験する世界は、複雑で簡単には見渡すことができないが、究極のところすべては脳に起因するとあります。

これ以上書いても、私の文章力では引用ばかりになりますので、脳に興味ある方は手に取ってみて下さい。

 

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4001プロジェクト

浪越美恵 (南境)

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 南境の浪越美恵さん。浪越さんというお名前は「なお」と読みます。

美恵さんのご主人が土佐町のご出身で、ご先祖から伝わる大正時代に建てられたというお家にお住まいなのですが、これがまあステキなお家なのでした。

以前は商店だったという土間には木製のカウンターが設えてあり、お客さんを迎えるような作りになっていて、昔は近所の方々が日用品を買いにやってきたという暮らしが垣間見えました。

この写真はお家の前で撮影させていただいたものですが、暖簾が風で揺れているように、奥から手前にとても気持ちの良い風が通るようにお家が計算されて作られているそうです。

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2020 Sept.

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さめうら湖

 

さめうら湖に昨月できた「湖の駅 カヌーテラス」。

オープニングの9月19日は、カナディアンカヌーやSUPの無料体験で賑わっておりました。

カナディアンカヌーのひとつをお借りして、大豊町「大田口カフェ」の喜夛河隆一さんに漕いでいただき、湖面を一周してきました。
空は秋晴れ、とても気持ちの良い環境に、えも言われぬ贅沢な気分になりながらシャッターを押したのでした。

喜夛河さん、ありがとうございました。

 

 

 

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私の一冊

浪越美恵

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「ふたりからひとり  ときをためる暮らし それから」 つばた英子・つばたしゅういち 自然食通信社

この本に出会ったきっかけは、このお二人の生活をドキュメンタリー映画にした「人生フルーツ」を見た事でした。

本を売っていたので早速購入し、この「ふたりからひとり」は二冊目でした。

お二人は80代と90代という高齢ですが、日々を仲良く大事に大事に過ごされ、自然農法で野菜を作り、奥さんの英子さんは、ほとんどのお料理を手作りされています。

英子さんは「料理を作ることで、いつも心穏やかでいられる。私を支えているのは、台所じゃないかと思います。」と書かれています。本の中には、英子さんのお料理のレシピもたくさん入っています。

「ふたりからひとり」の題の通り、ご主人のしゅういちさんが亡くなるのですが、英子さんの言葉。

「誰かの為に何かやれることを探し、人の為にやる以外、私の生きる道はない。とにかく前向きにやっていかないと、自分はやっていけない」とあります。

映画の通り、ほのぼのとした本ですが、いつも前向きで、かわいらしい英子さんに拍手です。

 

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笹のいえ

ご飯当番

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家族は里帰り中。

しばらくの間、長男とふたり暮らししてる。

当然、家事全般僕が切りもり。以前から僕が担当してる洗濯はふたり分しかないので物足りないくらいだし、布団を畳んだり風呂焚きなどは息子が手伝ってくれることがあるので、まあ最低限のことはなんとかやりくりしてる。

家事で一番大きな割合を占めるのは、食事作りだ。

これは結婚してからずっと奥さんに任せっきりだったので、なかなか大変。

今ある食材を把握して、足が早いものなどを考慮して調理する順番が決まり、献立を考える。

最近は数日分のメニューをメモするようにしてる(これは奥さんのアイデア)。そうすると必要な食材や野菜の使い忘れ作り忘れなどが減る。息子の「これ食べたい」に急遽変更することもある。

日常作業の合間に食事を作ると、一汁一菜が関の山。しかしありがたいことに、男ふたり暮らしを知る友人たちから毎日のようにおかずが届くので遠慮なくいただいて、これを一品加えれば豪勢な食卓になる。

平日、僕ひとりで食べる昼ごはんは、残りものが多い。タッパーに入っているおかずをつまみながら、そういえば実家の母親もそんな食べ方をしてたっけなと少年時代を思い返したりしてる。

料理も慣れてくると楽しい。やっぱりたくさん食べてくれると嬉しくて、黙々と食べている彼に「美味しい?」「好きだった?」とつい聞いてしまう。そう言えば、僕は奥さんの料理に「美味しいね」をちゃんと伝えていたっけな。

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私の一冊

古川佳代子

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「貸出禁止の本をすくえ!」 アラン・グラッツ作 ないとうふみこ訳 ほるぷ出版

E.L.カニグズバーグの『クローディアの秘密』を読まれたことはありますか?

「他人とは違う」自分になりたくて、弟を相棒にしてメトロポリタン美術館に家出する女の子が主人公の読み応えのある作品です。以前、NHKのみんなの歌で流れていた「メトロポリタン美術館」の歌詞はこの作品からインスピレーションを得たとのことです。 この世界の人々に愛され、読み継がれてきた物語が「小学校の図書館にふさわしくない」作品だと貸出禁止になってしまいます。

主人公のエイミー・アンは13回読んでもまだ読み返したいと思うくらい『クローディアの秘密』が大好きな女の子。貸出禁止処置に断固反対で、心の中で猛然と反対意見を述べるのですが、実際に声にすることは難しく、せっかく参加した公聴会では言葉を飲み込んでしまいます。けれども最初は11冊だった貸出禁止本が、その後どんどん増えていってしまう事態に我慢できず、突飛な手段で、貸出禁止の本をすくうことを思いつきます…。

エイミー・アンとその仲間を応援しつつ、司書の1人として、いろいろと思いながら読んだことでした。

 

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読んでほしい

稲刈りの季節

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土佐町は稲刈りの時期を迎えています。

町のなかには稲を刈るコンバインの音が響き、米袋をいくつも積んだ軽トラックが走っています。風に揺れていた黄金色の稲穂が刈られ、静かになった田は、確実に季節が移り変わっていることを教えてくれます。

この時期、道端で知人に会うと話題になるのは空模様のこと。「(稲刈りは)もうすぐかよ?」が挨拶がわりです。稲刈り仕事は、何と言ってもお天気勝負。良い天気が続き、稲が「よい感じ」に乾いた頃を狙って予定を立てます。

「明日、稲刈りするけ」と、弾んだ声で教えてくれた人がいました。ところが前夜に雨音が。

どうするのかな?と思っていたら「いたずらな雨にやられたにゃあ」と、その人は笑って言いました。

「自然は思い通りにはいかんにゃあ」。

稲刈りは次の日以降に持ち越しです。

 

稲刈りは大きな喜びのときでもあります。家族や親戚一同が田に集まり、落穂を拾いながら刈り取った稲藁を立て、共に仕事をしながら収穫の喜びを味わう。これが先祖代々重ねてきた営みなのだと思いながら、その風景を見つめました。

自然と何とか折り合いをつけ、自然と共に生きているこの地の人たちの足元は、しなやかな強さで満ちています。

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「宇宙兄弟 心のノート2」 小山宙哉 講談社

漫画「宇宙兄弟」の名言がまとめられている「心のノート2」。どのページも納得の名言ばかりですが、私にとっての特別な言葉があります。

主人公ムッタと日々人が幼い頃、二人の興味を宇宙へと導いた天文学者・金子シャロンの言葉です。

「人は何のために生きているのか」。幼い日のムッタの疑問に対するシャロンの答えは、『そんなつもりはなくても、人はね、誰かに“生きる勇気”を与えるために生きてるのよ。誰かに、勇気をもらいながら』。

私は今、自分でも言葉にできないようなもやもやした何かが胸の内にあるのを感じています。コロナウィルスの影響で行動が制限されていることも大きな影響を与えていると思いますが、いつまでこの現状が続くのか、先の見えない道のりにどこか疲れを感じている。それは私だけではなく、日本中、世界中の人たちが同じ問題を抱えているのだとわかっていながら、不安や疲れから言葉がきつくなり、今までだったら気にならないことが気に障り、ケンカや揉め事になることもありました。その度に、こんなはずじゃなかったのにとため息をつく。そんなことをしばらく繰り返していました。

でもある日、ふと顔を上げて見渡すと、周りには大切な人たちがいました。今までもいたはずなのに、私がちゃんと見ていなかったのです。ダメな時はダメだと叱ってくれる人がいました。何かできることはある?と声をかけてくれる人がいました。いつでもどんな時でも笑顔で迎えてくれる人がいました。

その人たちの存在に私はどれだけ支えられてきたか、前を向く「勇気」をもらっていたか。その人たちがいる環境をいつの間にか当然のように思ってしまっていましたが、それは決して当たり前のことではなかったのです。

人は、さりげない一言や行動を与え合いながら生きています。ふとした言葉やまなざしが誰かを救うことだってあるし、誰かを傷つけ苦しめることもある。「その人がそこにいる」ことには、思っている以上に大きな力があります。人が環境をつくっているのです。

今、日本中、世界中の人たちが皆、経験したことのない渦中にいます。大変な状況のなかですが、少しでも「生きる勇気」を与え合えるような言葉を、行動を、まなざしを互いに伝え合えたらと思います。

 

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