2017年6月

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

藤田純子

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おとなりのかいじゅう町内会 1丁目」 やなせたかし キャラアニ

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私の一冊

藤田純子

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『LOVE & PEACE ~英語曲』 根本浩 手島謙  金の星社

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(仮)鹿の角商会

第1話

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ある日の土佐町。

 

ぼくらはいつもと変わらない、平和な時間を過ごしていた。

 

川田ストア。

 

ここは酒屋さんなんだけど、その奥に机と椅子が置かれた小さなスペースがある。

ぼくらはよくここで勝手に集まっては、バカな話を楽しんでいる。

 

ちなみにこのスペースは、いっさい公開されていなくて(だからって秘密でもない)、

完全なるプライベート空間なわけだから、

店主である【のぼるさん】と【れいちゃん】が気に入った人だけが出入りしている。

 

ここに来る人はほとんど顔見知り。もし知らない人がいたとしてもすぐ仲良くなれる。そんなところ。

 

川田ストアの店主

のぼるさんの口癖「ほぇ?」

 

 

踊るれいちゃん、かっこいい!

 

 

川田ストア

ぼくらのかわどぅわぁぁぁ!!!

 

 

そんないつもの場所での、いつもな感じ。

「ねぇ、このまえ出張に行ってきたんだけどさー」

『うんうん』

 

「そこのホテルでね、資料を渡されたんだけども」

『うんうん』

 

「その資料をクリップでとめててね」

『それからそれから?』

 

「そのクリップがUSBになっててさ、資料の中身がぜんぶデータになって入ってるのよ!」

『まー便利!!!』

 

書いてて『だから何?』って思うくらいの、つまりは中身なんてあってないような…

そんな【話を楽しむことが目的!】みたいな雑魚い話題で、

土佐町にいるプロカメラマン【石川さん】ともりあがっていた。

 

撮り慣れてるけど(たぶん)撮られ慣れてない


「それでね、土佐町の素材を使ったUSBつくったら、おもしろくない?」

『あー、たしかに!』

 

『たとえば、鹿の角とかさ!』

「ほぉーー」

酒のつまみとしては、まぁまぁなネタだ。

 

 

いつかの大都会。


さっそうと横断歩道をわたるビジネスマン。

髪をキレイに整え、ダークグレーのスーツに光沢あるブラックレザーの靴を履き、

まるで街の全てをそこに映し出しているかのような、ガラス張りのビルに入っていく。

入口の自動ドアが開き、まだ新しいそのビルの匂いを味わいながら、さっそく受付をすませエレベーターで38階へむかう。

この日のために入念に資料はつくってきた。わずかな緊張を感じながらも彼の表情は自信にあふれている。

チン!と音がなり、エレベータの扉がひらく。

真っ青なジュータンがガラスの向こうに見える空まで続いているようだ。

足音は床に吸い込まれ、分厚い扉たちの向こうからは何の音も聞こえない。

自分の心臓の音だけが鳴り響くこの世界で、『大丈夫』そう自分に言い聞かせる。

コンコン、『失礼します』。

一番大きな扉の向こうには厳しい表情をした自分の父親ほどの男性たちが数名、すでに席についている。

冷たい視線を横切り、セッティングされているスクリーンの前に立つ。

鞄からパソコンを出し、これからはじまる一世一代の大勝負の準備をする。

「我々をこうして集めたからには、さぞ良い話が聞けるんだろうね?」

この日のために数ヶ月もかけて、彼はこの資料を仕上げてきたのだ、負けるはずはない!

左手でそっと鞄のふちを持ち、それとは対照的に右手を力強く中につっこみ、全てのデータが入っているUSBをつかむ。

「もちろんです!」

そうして彼は、すでに勝ったことを確信しているかのように、高々と右手を掲げる。

その右手には、鹿の角。

 

もはや説明なんて不要でしょう

 

 想像したらフフッ♪ってなる。

決して爆笑はしないけれど、ニヤニヤしちゃう。

 

 

ぼくらはそれだけでお腹いっぱいだったのに。

 

パッとアイデアが思いついて、酒のつまみとしてその場で消費されて終わる。

アイデアの大半はそんなもん。

だからそれ以上は、とくに何も望んじゃいなかった。

 

だ・が・し・か・し

(「お・も・て・な・し」ってやりたかっただけ←ここまで書いて、急になんか恥ずかしい…)

 

ここは土佐町!!!

(『土佐町だから』ってのが理由になっちゃうの!!っていう伝わらない思い…)

「鹿の角か?持ってきちゃるわ!」

川田ストアによくいるダンディー&キュートな笑顔のおじ様【アキラさん】がそう言いながら、すでに出口に向かって歩きはじめている。


「えっ、あっ、えぇ⁉︎」

戸惑う。

急すぎる展開にただただ戸惑う。

「やばい!」

何がやばいのかわからないけれど、とりあえずそんなとき口から出てくる言葉No1は、やばい!

 

今起こっていることにザワザワしながら待っていると、アキラさんが鹿の角を数本、ビニール袋に入れて戻ってきた。

「やるわ!」

いきなり粋に手渡す鹿の角。

ちょっと話したことが、すぐ、ほんとその場で現実になり始める。

これが土佐町クオリティー!!

 

『鹿の角で何かやりたい』なんて、そんな思いはまったくなかった。

けれど、土佐町のものを使って、土佐町の人たちと一緒に何かできたら楽しーだろうな。

 

ただみんなで楽しみながら作るだけでもいいんだけど、せっかくなら【土佐町グッズ】をかってにつくって、

あわよくば旨い汁をすすろうと思います。

 

というわけで、【(仮)鹿の角商会】ゆるーくやっていきます。

文・写真 Kawano Akinori

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私の一冊

沢田みどり

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「ひでこさんのたからもの。」 つばた英子、つばたしゅういち  主婦と生活社

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嶺北高校カヌー部の挑戦

Vol.1 ラヨシュがやってきた

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Lajos Gyokos | ラヨシュ・ジョコシュ

 

受け継いできた伝統を大事にしながら、新しい視点を尊重し、さらに融和を図るというのは、簡単そうに思えてじつは難しいことだ。

縁もゆかりもない土地に移り住んできた移住者たちのフットワークの軽さもたいしたものだが、彼らを積極的に受け入れている嶺北の人々は懐が深いのだろう。

異なる価値観が交わったとき、そこには新たな文化が発展する土壌がつくられる。

2017年4月から土佐町で暮らし始めたラヨシュ・ジョコシュも、嶺北に移り住んだひとりだ。1980年6月4日うまれの37歳。中央ヨーロッパに位置するハンガリーからやってきた。

ハンガリーは、西はオーストリアとスロベニアに接し、北はスロバキア、東がウクライナにルーマニア、南はセルビアとクロアチアに囲まれた内陸国で、日本との時差はマイナス7時間。

日本からの直行便はなく、成田空港からだとヨーロッパ経由で約16時間から20時間前後かかる。
はるか遠きハンガリーからラヨシュがわざわざ嶺北にやってきたのには、もちろん理由がある。
この地にカヌー文化を根付かせるために、はるばるやってきたのだ。

 

「ハンガリーではカヌーは国民的スポーツ」

「ハンガリーではカヌーは国民的スポーツなんです。街ごとにカヌークラブがあって、私も小学生のときにカヌーを始めました。

私が入ったクラブでは、最低でも200メートルを泳げないとカヌーに乗せてもらえなかったから、まずはドナウ川でスイムをマスターするところから、私のキャリアはスタートしたんですよ(笑)」

(敬称略)

つづく

文:芦部聡

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私の一冊

藤田英輔

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『おじさん図鑑』 なかむらるみ 小学館

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私の一冊

藤田純子

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「イタリアマンマ修行っ!」 仲村・Poli・友佳里 里文出版

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私の一冊

藤田英輔

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『不思議の国のアリス』 ルーイス・キャロル (著), 岩崎民平 (訳) 角川文庫

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私の一冊

近藤泰之

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「わすれられないおくりもの」  スーザン・バーレイ(作・絵)小川仁央(訳) 評論社

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