2017年12月

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

山下志保

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「でた!かっぱおやじ」 安曇 幸子  (著),‎ 吉田 裕子  (著),‎ 伊野 緑  (著) サンパティックカフェ

志保先生が教えてくれたのは「でた!かっぱおやじ」。
以前担任をしていたそらぐみ(年長さん)の子が、毎日毎日この本をずっと借りていくので、そんなに面白いのかな?と読んでみたら志保先生もはまってしまった、という本。

夏にそらまつりという保護者も参加するお祭りがあり、その時に「でた!かっぱおやじ」の世界を作り上げ、子どもたちは大喜びやったそうです。

「一人の子の好きだった本が、みんなのお気に入りになった」
と志保先生はその時の思い出を教えてくれました。
きっとその時のそらぐみの子どもたちも、この本をみたら保育園時代のことを思い出したりするのでしょうね。

写真にある「ほいくえん7ふしぎ」は、「子どもたちがそらで言えるくらい好きやった」とのこと。
先生はその時のことをいつまでも大事に覚えているんやなあとなんだか胸がいっぱいになりました。

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土佐町ストーリーズ

娘のおみやげ

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「かーさん、おみやげ!」

保育園にお迎えに行ったら手渡された一枚の葉っぱ。

お庭で見つけたとのこと。

落ちているのを見つけて手にとって、じっと眺めたのだろう。

その姿が目に浮かぶ。

この葉を「おみやげにしよう」と思った娘を、とてもいいなと思う。

春、夏、秋、冬。この町のめぐりめぐってゆく季節が娘の感性を育ててくれている。

 

 

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笹のいえ

やけど

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父ちゃんが朝一番に起きて、薪ストーブに火をいれ、台所を温める。

子どもたちが起きると、真っ先にストーブの前に集まって暖をとる。

ちゃっかり者のお姉ちゃんは、お腹に豆炭あんかを忍ばせてる。

母ちゃんはストーブに鍋を並べ、朝ごはんを作りはじめる、、、最近の朝の風景だ。

 

火のある暮らしを家族でしたくって、笹のいえにやってきた。

釜戸 七輪 薪ストーブ 五右衛門風呂 焚き火 豆炭あんかなど

火は毎日の生活に欠かせないアイテム。

扱いには注意しているが、ちょっとした不注意から、おとなも子どもも小さなやけどをする。

怪我は痛いし不快だけど、またひとつ経験値が上がった気がする。

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土佐町ストーリーズ

栗とお天道さま

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「栗いるかね?」

近所のおばあちゃんが栗をくれた。

エプロンのポケットから、これも、これも、と5個ほど手のひらにのせてくれた。

もうそれだけで、手のひらからこぼれそうなほど大きな栗だった。

栗はほんのりと温かかった。

「茹でてあるんですか?」と聞くと

「茹ででないのよ。お天道さまのぬくさよ。」

 

じん、とした。

 

帰り道、お天道さまは山の向こうへ沈み、もう夜を迎えつつあった。

ふと空を見上げると、銀色をしたお月さまが静かに光っている。

まるでひとつのおはなしの中にいるみたい。

栗、お天道さま、月、おばあちゃん。

この地で暮らす人たち、いつもそばにあるものたちが、毎日をちょっと特別な日にしてくれている。

 

 

 

 

 

 

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私の一冊

石川拓也

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「歴史と小説」 司馬遼太郎 集英社

司馬遼太郎のエッセイ集。
数々の優れた歴史小説を書きながら、そこからこぼれた話や考えが短編で収録されています。話が飛びますが、司馬遼太郎が亡くなった当時、宮崎駿が追悼文を書いています。

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「司馬さんは職人が好きでした。

司馬さんが日本という国が好きな理由として、物を作っている人間に対する尊敬を失わない国だという話をされました。

これで事足りるとしながらも、頭を使い、体を使って一生懸命、自分で先頭切ってやっていく人間たちというのを、実は日本の一番いい部分だというふうに思っていた。

司馬さんってそういう人だった。潔いんですね、司馬さんの書き続けた人物たちというのは。

その潔さが好きです。」(宮崎駿「司馬遼太郎さんのこと」一部略)

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潔い職人さん、頭を使い、体を使って一生懸命、自分で先頭切ってやっていく人間たち。

土佐町にもたくさんいますよね。

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近所に住む上田房子さんは私の師匠でもあり、今までたくさんのことを教えてもらってきました。
(房子さんのことについて書いた記事はこちら

毎年この時期になると、房子さんの作業小屋の軒下に干し大根が吊るされます。
その光景を見ると「ああ、今年もこの時期がやってきたんだなあ」と思うのです。
そして「一年という時間がめぐったんやなあ」としみじみします。

太陽の光を浴びて風に揺れながら、真っ白だった大根の形も色も少しずつ変わっていきます。

房子さんは何十年もずっとこのやり方で干し大根を作ってきたそうです。
種を蒔き、育てた大根を畑からとってきて、自分の田んぼのお米のわらを綯って(なって)つくった縄に大根を通していく…。
なんて素晴らしいんだろうと思いました。

無駄なものはひとつもなく、身の回りにあるものを工夫して使うこと。
身の回りにあるものからまた新たなものを作ること。それは、ずっと昔から引き継がれてきたこの地の素晴らしい文化のひとつだと私は思います。

房子さんの根気強い(?)教えのおかげで、私もわらで縄を綯えるようになりました。
房子さんの技、房子さんがこうやって教えてくれた、ということをかたちに残したいとずっと思ってきました。

 

今日も房子さんの小屋の軒下では、吊るされた大根が太陽の光を浴びているでしょう。
今年も房子さんと大根を干すことができたことに、心から感謝しています。

房子さん、また来年も一緒に干し大根、作りましょうね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんな風に干し大根用の縄を綯っていくのか…。房子さんの手の動き、ぜひご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

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私の一冊

仙田聡美

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「子うさぎましろのお話」 佐々木 たづ (著),‎ 三好 碩也 (絵)  ポプラ社

土佐町の仙田聡美さんが教えてくれた一冊、「子うさぎましろのお話」。
子どもたちが何度も何度もこのお話を読んだのだろうな、ということが伝わってくるような本の佇まいをしていました。

『子うさぎのましろは、サンタさんにもらったお菓子をぺろりと食べてしまって、もう一度贈り物をもらおうかな、と考えました。でも、サンタさんからのおくりものは、どの子どもも一かいきりだということを、うさぎの子はしっていましたから、「このかんがえは、だめだな。」とおもいました。』

「このかんがえは、だめだな」と思うところがいいな、と思います。

クリスマスはもうすぐ。
また子どもたちと一緒にこの本を開きたくなりました。

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笹のいえ

大豆の収獲

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米小麦と同じくらい、我が家で大切な大豆。

数年前に在来の種を分けてもらい、その種を繋いでいる。

今日は収獲の日だ。

車を運転し、まだ朝露の残る畑に出向く。

寒さに震えながら作業をしていると、あるときすっと日が差し込んだ。

その暖かさに、心も身体もほぐれていく。

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土佐町ストーリーズ

知らなかった

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今年の夏、相川コミュニティセンターのプールで見つけた蟹。

卵を持っています。

 

どこで産み落とすのかなー、なんてその時は思っていました。

38年間生きてきて、私は知らなかったのです。

蟹が卵をどうするのか。

 

みなさん、知ってます?

 

こうなります。

 

見えますか?

お腹に蟹の赤ちゃんがわんさか・・・。

これは、友達の子どもが川に遊びに行った時に見つけた蟹で、私が見つけた蟹とは別蟹です。

 

 

 

 

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私の一冊

石川拓也

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「古事記」 梅原猛 学研パブリッシング

 

いわゆるこの日本という国がどのように生まれたかを描く壮大なストーリー。

政治的な読み方や皇室の家系図として読むとやたらと言葉に気をつけないといけない気がしてくるのですが、そうではなくギリシャやアメリカインディアン、アボリジニなどそれぞれの民族が持つ神話と横並びの「日本神話」として読むと単純明快です。

太古のこの地に生きていた人々が、この世界の仕組みをどのように理解していたか。科学的か非科学的かというものさしで測るのではなく、そこに日本人の生き方考え方の原型があるような気がします。

それにしても登場人物の名前が長い!長すぎる!漢字多すぎ!
これが挫折する大きな原因なんですよね。

天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸

神様一人の個人名です。読めない言えない覚えられない。
「アメニギシクニニギシアマツヒダカヒコホノニニギ」という人らしいです。
歯医者の受付で「アメニギシクニニギシアマツヒダカヒコホノニニギさんどうぞ〜」って呼ばれるんでしょうか。受付の人も困りますよね。

倭建命(ヤマトタケルノミコト)ぐらいにしてほしいです。

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